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宇都宮工業=スカム処理なら「週一君」で=消費電力9割減で10年ノーメンテナンス

来社した一行

 「7~10分程で全てスカムを除去でき、さらに消費電力は従来の9割削減。しかも10年間メンテナンスせずに動く優れものです」。4日に来社した宇都宮工業株式会社の宇都宮秀雄社長は、そう強調した。
 「スカム」とは、下水の底に溜まった汚泥にガスが発生して軽くなり、水面に浮かび上がってできた層のこと。汚泥には油脂質や大腸菌、繊維質などが含まれており、層が厚くなると手で除去するしかないやっかいな汚物だ。
 同社製品の「週一君」は、そんなスカムを短時間で全量確実に除去できる装置だという。田中宏治統括本部長は「食肉を扱う工場などでの利用も想定しています」と語る。牛肉、豚肉、鶏肉で世界最大規模の生産量を誇るブラジルにおいて、その工場汚水は重大な環境問題だ。
 そのほか、自動車工場や機械工場などの油まみれの部品を多く扱う会社、上下水道処理施設などでは悩みのタネになっているという。
 宇都宮工業は、17年8月にJICAの日系社会視察団で初めて来伯し、当地の下水処理場を見学した。その時に宇都宮社長は、「東京の環境汚染がひどかった40年前を思い出した」と振り返る。「これ以上自然を破壊しないために、日本の技術を活かしたい」と思った。
 その経験から今回、JICAの下水処理施設における課題改善を目標とした案件化調査に応募し、採択されたという。これは今年7月に開始し、来年8月まで3度現地調査を行う。
 1度目は今年9月に来伯し、サンパウロ州水道公社(Sabesp)などを視察した。今回は2度目の来伯で、パラナ州クリチバ市やミナス・ジェライス州の民間企業などを視察。来年が3度目の現地調査となる。
 既にブラジル民間企業が訪日視察し、機材購入やライセンス生産などに興味を持っているという。
 来社した宇都宮工業の宇都宮社長、田中統括本部長、田中麻有子統括推進部部長、カーボンフリーコンサルティング社の中西武志社長、内藤ゆりや顧問は「自然を復元させるのには非常に多くのエネルギーを費やす。これがブラジルで役に立てば」と語った。
 問い合わせは、宇都宮工業(info@u-pec.co.jp)まで。商品概要はサイト(http://www.u-pec.co.jp/)で確認が可能。


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 宇都宮工業には、下水道処理施設などのスカムを処理するだけでなく、燃料に変える技術もあるという。ゴミを処理して資源に変えるという優れた発想だ。来社した際に、ブラジルで最近起こった北東伯の原油漂着の話をすると、「うちの商品で原油の処理もできますよ」という頼もしい言葉も。ぜひ民間企業だけでなく連邦政府、州政府、市にも利用してもらい、ブラジルの環境を守って欲しいところ。