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ブラジリアン・マインド=「ジョアンが作ったのではない」=坂尾さんボサ・ノーヴァ講演=駐在員家族ら30人が堪能

坂尾英矩さん

 「日本ではジョアン・ジルベルトがボサ・ノーヴァを一人で作ったように言われているが、実際とは違う」――ブラジル日本青年会議所(JCI・BJ、和田ルドルフ理事長)は「第4回ブラジリアンマインドプロジェクト(Brazilian Experience Day)」を11月30日に開催し、駐在員とその家族ら約30人が参加した。当日はブラジル音楽評論家・坂尾英矩(ひでのり)さんが自らの体験に基づいて1時間ほど「ボサ・ノーヴァの歴史」を講演し、参加者は興味深そうにじっと耳を傾けた。

 1956年に移住した坂尾さんは、学生時代から進駐軍相手のジャズバンドの一員としてベースを弾くなど、音楽には造詣が深かった。移住後も音楽活動を続け、ボサ・ノーヴァ誕生期のリオにも足を運び、トム・ジョビンとも「飲み友達」だったという。
 「ある時、ジョビンに直接に聞いたんだ。『日本ではジョアンがボサ・ノーヴァを始めたように言われているけど、どう思う?』と。そしたらトムはこう言った。『あの時代の雰囲気から生まれだんだ』」という実話を坂尾さんは披露した。
 さらに「バーデン・パエルにも同じことを聞いた。そしたら『ブラジルに元々あったものを混ぜたのがジョアンだ』と言った。ジョアン一人が作ったというより、あの時代の雰囲気を上手にまとめたのが彼」とのこと。トム・ジョビンと同じくボサ・ノーヴァ界の巨匠の一人だ。
 声を張り上げないアメリカのビング・クロスビー風の歌い方にジョアンが注目し、「サンバに乗っけた」という。ボサ・ノーヴァ特有のリズムは元々はドラマーが編み出したもので、それをギターにアレンジしたのがジョアン。「張り上げない歌い方でサンバを歌い、ドラマーが生み出した新しいリズムをギターにアレンジしたらボサ・ノーヴァになった」とバーデン・バウエルは言ったのだと坂尾さんは説明した。
 「ボサ・ノーヴァができたあの時代に、あのメンバーと親交があった者として、その通りだと思う」と語った。
 ブラジルでは見向きもされなくなった音楽だが、日本では根強く人気を博している理由を、(1)アメリカのジャズに影響を受けたメロディやハーモニーが聞きやすい、(2)サンバのドラムは元々はクルザードという熟練した人でないと演奏が難しい打ち方をしたが、ボサ・ノーヴァはそれを簡単なものに変えたので世界で演奏されやすくなったと列挙。
 さらに「キューバ革命のおかげ」とも強調した。「1959年のキューバ革命までは米国のラテン音楽はキューバ人が牛耳っていたが、革命で下火になった。その時、『ブラジルで新しい音楽ができたらしい』と紹介され、1962年にカーネギーホールで初演されて大成功し、日本にも米国経由で広まった。キューバ革命がなかったら米国でヒットしなかったし、日本へも広まらなかった」とのこと。
 夫婦で参加した駐在員の斉藤哲志(さとし)さん(51、北海道)は「学生の頃からボサ・ノーヴァが好きで、坂尾さんの講演を楽しみに来た。もっと聞きたかった」との感想をのべた。また、来伯2カ月目の30代主婦は「サンパウロに来ても、今まで日系の方と知り合う機会がなかった。今回ダンスや音楽を通して触れ合えて良かった」と頷いた。

主催者と参加者らで記念撮影


□関連コラム□大耳小耳

 「ブラジリアンマインドプロジェクト」では最初に、野口泰在サンパウロ総領事が総領事館の仕事概要を語り、ベテラン駐在員から聞いた話として「欧州でアジア系は上から目線で見られ勝ちだが、ブラジルでは敬意をもって接してもらえる。これは日系人が培った信頼のおかげ」などの逸話を紹介した。その後、フォローなどのダンス・ワークショップ、昼食はブラジル料理各種、カイピリーニャの作り方教室、ブラジル音楽などを楽しんだ。参加者は、さまざまな「ブラジル経験」ができる充実した時間が過ごせた様子。まだ参加していない人は、次回ぜひ参加してみては?

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