世界的な科学雑誌『ネイチャー』が17日、科学者としての倫理感を固持し、「科学的完全性」を示した人物10人を顕彰する「ネイチャー10」を発表、ブラジル人科学者のリカルド・ガウヴァン氏がトップに選ばれたと17、18日付ブラジル国内紙、サイトが報じた。
今年のネイチャー10では、10人中6人が、科学を擁護し、科学者としての倫理感を貫いたとの理由で顕彰された。
トップに選ばれたガウヴァン氏は、ブラジル科学技術省傘下の国立宇宙研究所(Inpe)の所長を務めていたが、8月に所長職を解任された。
同氏解任は、7月にInpeが発表した衛星写真によるデータで6月の法定アマゾンの森林伐採増加が明らかにされた事を良しとしないボルソナロ大統領が、「Inpeの報告はブラジルに悪影響を及ぼす」として、同氏やInpeを批判し始めた事が原因だ。
同氏は、Inpeの発表したデータの信憑性に疑問を呈し、発表前に見せろとの大統領の要請に対し、国際的な研究機関も使う信頼性の高いデータを提供し、お墨付きももらっていたInpeの働きやデータを擁護。科学者としての立場を固持する態度は大統領の意向に沿わず、8月2日のマルコス・ポンテス科学技術相との会談で解任を伝えられた。
同氏は現在、サンパウロ総合大学(USP)に戻り、研究者としての活動を続けている。11月にニューヨークで開かれたコロンビア大学でのイベントに参加した折も、大統領に対して「科学を擁護し、法定アマゾンの森林伐採抑制の必要を説いた」事を主張。「科学的な事柄に関しては、どんな権力者も科学の主権を曲げる事は出来ない」と強調した。
ガウヴァン氏以外でネイチャー10に選ばれた環境関連の顕彰者は、アルゼンチンの環境学者サンドラ・ジアス氏と、16歳でスウェーデン人の環境活動家グレタ・トゥーンベリ氏だ。
ジアス氏は、145人の研究者と共に世界規模の調査を行い、約100万種の動植物が人類の活動によって絶滅の危機に瀕している事を明らかにした。同氏の研究は、グレタ氏の活動とは異なる形で地球温暖化の深刻さを伝えている。
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