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外出規制は経済回復を早める=米国の例が大統領の弁の反証に

 【既報関連】経済活動を妨げ、甚大な損失を与えるとして、ボウソナロ大統領が盛んに反対していた外出自粛や隔離という社会的隔離策は、新型コロナウイルスの流行後の経済の回復を早める可能性を示す研究結果が発表された。
 感染学者や保健部門の専門家が唯一の方法という社会的隔離策はブラジル国民から支持を得ていたが、ボウソナロ大統領はこの方策は経済に甚大な影響を与えるとし、高齢者や持病のある人以外は屋外に出て、経済活動に戻るよう呼び掛けた。
 この声に応え、住民達が街頭に繰り出した地区がある事や、外出自粛に反対する車両デモが行われた事は記憶に新しい。
 大統領が主張する経済活動や雇用の維持は、コロナウイルス感染症の流行が抑制された後の回復のために不可欠で、各レベルの政権担当者が心すべき事だが、流行抑制を最優先すべき時期には、文字通り外に出て働くより、社会的隔離が求められている事を示す研究が公表されたのだ。
 これは、3月26日に発表された、1918年に起きたスペイン風邪の世界的な流行時に米国の自治体が採用した方策に関する研究だ。
 米国内の銀行やマサチューセッツ技術研究所で働くエコノミスト3人が行った、43市が採った流行抑制策とその後の経済活動の回復に関する研究によると、積極的な流行抑制策を採用した市は、対策を行わなかった市よりも経済活動の回復が速やかだったという。
 経済活動の回復が速やかだった市が採用したのは、新型コロナウイルス対策として世界的に採用されている、大勢が集まるようなイベントの禁じ、学校や劇場、教会、商店を閉鎖したりして外出を抑制する、社会的隔離策だ。これらの市では、感染者や疑似症患者の報告とマスク着用を義務付け、感染者の隔離も行った。
 社会的隔離策の採用は一律ではなく、フィラデルフィア市では、恒例となっていた大規模集会の開催も許可したところ、同年10月はスペイン風邪による死亡率が目に見えて上がったという。
 他方、当局が迅速に介入したセントルイス市では、死亡率が他市と比べて大幅に低かった。
 エコノミスト達は、43市について、社会的隔離策が採用された期間やスペイン風邪による死者、経済指標を分析して比較。スペイン風邪に対して思い切った対策を、それも早めに採った市では、流行終息後の1919年の工業生産や雇用、銀行株などの回復がより速やかだった事が判明したという。
 感染者が出る前に対策を採った市は、工業界の雇用が5%拡大。予防策を50日以上適用した市では、雇用が6・5%増えたというのだ。
 エコノミスト達によると、外出自粛などの社会的隔離策を採った市も、経済活動は一時的に低下したが、同様の対策を採らなかった市では、感染を怖れた市民が自分達から外出を自粛したために経済活動が低下。その後の回復は対策を採った市ほど明確かつ迅速ではなかったという。
 彼らは、早い時期に積極的な介入を行う事は、死亡率だけでなく、経済面への影響も最小限に抑えると結論付けている。(3月28日付G1サイトより)

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