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《ブラジル》食肉加工工場の1割が休業=従業員の感染防ぐため

牛肉の加工工場(13日付G1サイトの記事の一部)

 【既報関連】食肉加工業界は基幹サービスの一つで、新型コロナウイルスの感染拡大抑制のための外出・営業規制の対象外だが、全国の工場の1割弱に当たる42の工場が操業を停止している事がわかったと13日付現地紙サイトが報じた。
 新型コロナの感染拡大抑制のために、各州が外出や営業を規制する条例を出した際、食料品や薬品などを販売する店や、農業、食品製造業、食肉加工業、運送業などは基幹サービスとして営業継続が認められた。
 だが、全国にある446の食肉加工工場の1割弱に当たる42工場は、コロナ禍のために操業を停止している。
 操業を停止している工場が扱っているものは、牛肉31工場、鶏肉5工場、豚肉1工場、魚類3工場、食肉全般2工場となっている。
 食肉加工工場は通常、ベルトコンベアで運ばれてくる材料を、傍に並んだ従業員が切り分けたり、袋詰したりする工程をとるが、作業工程や設備の問題で、従業員同士が社会的隔離に必要な間隔を保つ事が困難な場合がある。
 自動車製造工場の多くが集団休暇を採用したのは、販売店は営業規制の対象である事と、製造ラインの中で必要な距離を保つのが困難な事が主な理由だが、食肉加工業は食生活を支えるための基幹産業として操業継続が求められている。
 だが、4月下旬に米国で、600人以上の従業員が感染しているのに操業を続けていた食肉加工工場が告発された。ブラジルの労働検察も5月7日までに、11州、61の食品加工工場で、感染抑制のための保健省の基準に従って操業を行っているかを捜査している。
 これらを受け、連邦政府は11日、コロナに感染したまたは感染の疑いのある従業員は最低14日間隔離する事など、72項目の指導要綱をまとめて発表した。この指導要綱は、経済省、農務省、保健省が協力して作成したものだ。
 操業を停止した工場の所在州は、アマゾナス、ゴイアス、ミナス、マット・グロッソ、マット・グロッソ・ド・スル、パラー、パラナ、リオ・グランデ・ド・スル、サンパウロ、トカンチンスの10州となっている。
 なお、操業を停止している42工場中、35は会社側の判断で操業を停止。残りの7工場の内、一つは検察が操業停止を命じたが、6工場は裁判所などの外部機関からの命令を受けて操業を停止したという。
 基幹サービスに属する業種では、体温計測やマスクの支給などで従業員への感染予防や感染者の早期発見などに努めているが、食肉加工業や自動車製造業のように、ベルトコンベアで原材料が運ばれ、従業員が密接して作業を行う場所では、互いの距離を保つなどの対策の維持が困難だったりする。感染拡大抑制は、労働者が安心して働ける環境作りに不可欠だ。