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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(255)

 サンパウロの第1裁判局のダゴベルト・サーレス・クーニァ・カマルゴ判事はビアンコ検事の意見書に同意した場合、検事の意見どおり、臣道聯盟に関与した390名の被告人全てに無罪を宣言することになる。判事が同意しても、これは長い歳月がかかりすぎた。判事の説明の大部分は8年前、フェレイラ・カルバリョ検事による訴訟についてだった。
 長い訴訟の説明のあと、カマルゴ判事は今回の問題に入った。はじめ、訴訟の年、そして、ネーヴェス弁護士の申請および検事の鑑定を説明。半田倉蔵氏の申請許可に対する現検察局の処置を評価し、その上この処置は残りの全ての被告人にも及ぶべきだと述べた。
 ただし、判事はすぐに決定を下さなかった。新しく発令された大統領令の刑法によると、最重刑が3年、つまり、時効は8年で、これは当然新しい法令に従うべきだと述べた。時効については、訴訟を受けた日から数えるが、申請して審問を前倒しにした場合どうなるか。これに対しカマルゴ判事は審問の前倒は時効を中断するものではない。新たに被告が増えた訳ではなく、また、新たな犯罪がおかされたわけでもない。
 判事の判断は明白だった。「1950年4月11日訴訟を受け、本年4月11日をもって時効が成立した」その上、司法裁判所の刑事部はカルバーリョ州高等裁判書判事が提案した「時効を継続すべきか、中断すべきかは検察局の責任者に権限がある」という合議体判決に同調した。
 カルバーリョ州高等裁判書判事は偶然だが、当時の第1裁判局の局長で、裁判権が第1裁判局と司法裁判所にあるかもめた。その際、最初の被告人たちを審問したのがこの判事だったのだ。刑事部はそれを受けて、審問を前倒しにした場合でも時効は継続されることを明白にした。
 そして、カマルゴ判事の「審議の結果、臣道聯盟の訴訟を受けた被告はすべて無罪と決定する」と宣言し390名の被告人の氏名が読み上げられた。そのなかに正輝の名もあった。
 それは1958年8月13日のことだった。1946年4月7日、正輝はアララクァーラにおいて、臣道聯盟の会員として検挙された。それから12年と4ヵ月と6日たって、彼は自由の身になったのだ。

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