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《ブラジル》最高裁判事「軍がコロナによる虐殺に加担」=軍人任せの保健省運営に批判発言=国防相と3軍総司令官が猛反発

メンデス判事(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 最高裁のジウマール・メンデス判事による「軍がコロナウイルスによる大量殺戮に加担した」との発言を受け、軍が連名で抗議声明を出した。メンデス判事の発言は、世界最悪レベルのコロナ災禍のブラジルにおいて、正式な保健相が2カ月も不在で、医療専門知識のない多数の軍人が保健省幹部を独占している現状を批判したもの。14日付現地紙などが報じている。
 メンデス判事が11日、雑誌「イスト・エ」が主催したネット生放送に出演した際、5月末にネルソン・タイシ医師が辞任して以来、正式な保健相が2カ月近くも空席であり続けていることを批判。
 医療経験のないエドゥアルド・パズエロ陸軍中将が保健相代行を務め続けていることを指して、「もし保健相を指名せずに代行のまま続けさせているのが保健省の経費削減を目的としたものならば、軍はジェノサイド(大量殺戮)に加担していると言わざるを得ない」と発言した。現在、ブラジルのコロナウイルス死者は7万人超で、世界第2位だ。
 メンデス判事のこの発言に対し、フェルナンド・アゼヴェド国防相は13日、陸海空のエジソン・プジョル、イルケス・バルボーザ、アントニオ・カルロス・モレッティの3総司令官との連名で抗議声明を出した。
 この抗議文で、軍は「ジェノサイドという言葉は、特定の意図を持って特定の国や民族、人種を大量殺害することだと定められている」として反論を行い、軍部がこの発言によって威信を傷つけられた旨を抗議している。
 「連邦検察庁に対して捜査を申し出ることも辞さない」とも書き記した。
 軍からの抗議に対し、メンデス判事は「軍の名誉を傷つけるつもりはない」と釈明しつつも、「現実を直視するべきだ。軍が保健省の役職を独占するという政治的配慮が、何の効果も見せず、何百万人ものブラジル人が命を失っていることは確かだ」とダメ押し発言をし、謝罪の意図を見せなかった。

 司法界と軍の関係は、このところ悪化する一途だ。セウソ・デ・メロ判事がボウソナロ大統領の携帯電話の提出を検討した際にアウグスト・エレーノ大統領府安全保障室(GSI)長官が「不測の事態が起こる」と軍事クーデターを思わせる発言をしたこと。18年大統領選をめぐって大統領と軍出身のアミウトン・モウロン副大統領のシャッパを無効にすることもありうる裁判を選挙高裁が検討していること。ルイス・フクス副長官が「軍は三権の調停役ではない」と軍の最高裁への圧力を批判したことなど、緊張した状態が続いている。
 とはいえ、保健省に医療専門家がいないことを問題視する意見は多い。医師出身で国民の高い支持を受けながらも、4月に大統領から解任されたルイス・エンリケ・マンデッタ元保健相は13日、「パズエロ氏は弾道学ならわかる(医療のことはわからず、数字上の動きのことしかわからない)」と語り、代行を皮肉った。
 また、調査団体ヴォックス・ポプリの世論調査では、82%がパズエロ代行の手腕を気に入っておらず、医療の専門家を保健相につけるべきだと考えているという。

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