パンタナルの森林火災拡大が続き、火災件数は28日現在で、10月としては1998年の観測開始以来最多となった上、年間総数の新記録を更新中と29日付現地サイトが報じた。
国立宇宙研究所(Inpe)によると、10月1~28日のパンタナルでの火災件数は2825件で、従来の10月の月間記録だった2002年の2761件を超えた。
これにより、今年は7月と9~10月に当該月の新記録を更新した。また、7月が当該月新記録の1684件、8月は、9月までは全期間を通じた月間最多だった2005年8月の5993件を若干下回る5935件だった事もあり、28日現在の年間累計は2万1084件に達し、年間総数の新記録を更新中だ。従来の最高は05年の1万2536件だった。
地理統計院によれば、2018年までのパンタナルは最も保存状態が良い植生だったが、今年は既に400万ヘクタール以上を焼失している。
ただ、雨が降ったりした事で15日以降は1日の火災件数が0の日も現れるなど、若干だが、増加傾向にブレーキがかかり始めた。それでも、例年以上の干ばつだった事と、森林火災多発とで、域内の川の水位が通常の状態に戻るのは早くても年末と見られるなど、回復には時間がかかる。
市警や連警は火災の多くは人為的なもので、農場主らが放った火が燃え広がったりした可能性が大と見ている。一例は、マット・グロッソ・ド・スル州の4農園からの出火で2万5千ヘクタールを焼失した件だ。連警は米国航空宇宙局(NASA)のデータとInpeのデータを重ね合わせて追跡調査している。
パンタナルの森林火災の影響は、ブラジル南部や南東部でも、黒い雨や呼吸器疾患の患者増加といった形で出ている。
また、パンタナル内部では、地上で生息する動物が焼死したり、生息場所を失うといった影響が出ている。さらに、川の水質が悪化し、水中の酸素量減少などの影響が残る上、川の水位が低下する時期に起きる森林火災で、増水期に水で覆われる地域の土壌が焼かれたり、灰で覆われたりして、本来の土壌が持つ栄養素などを失っている。また、増水期に洪水が起きる地域で増殖する種類の魚などの個体数が、来年以降、目に見えて減る事も予測されている。
なお、法定アマゾンでの森林火災は28日現在で9万1873件で、昨年の年間総数(8万9176件)を既に超えた。1~9月の同植生での火災は、2010年以降で最多となっている。
ボルソナロ大統領やモウロン副大統領は近日中に外国からの外交官を連れてアマゾンを上空視察する意向で、「マナウスからボア・ヴィスタのルートを飛んでも、森林火災や森林伐採の形跡は見出せない」と豪語しているが、ロライマ州ロライノポリスは今年最も火災が多発している場所の一つ。
また、アマゾナス州フィゲイレドやロライマ州のカラカライー、ロライノポリスでは、2018年8月から2019年7月に2万500ヘクタールの森林伐採が行われている。