ホーム | 日系社会ニュース | SC病院=石川レナト理事長が退任=手腕発揮し9年間で経営刷新=財務体質や院内環境改善

SC病院=石川レナト理事長が退任=手腕発揮し9年間で経営刷新=財務体質や院内環境改善

9年間務めた石川レナト理事長

9年間務めた石川レナト理事長

 サンタクルス(以下SC)病院を運営するSC日伯慈善協会(石川レナト理事長)は3月15日の定期総会で、9年間務めた石川理事長(82)が退任し、第一副理事長だった佐藤マリオ氏(64)が新理事長に就任した。交代のあいさつのために、両氏は16日に来社した。

 石川氏が理事長を務めた期間は2012年3月から2021年3月。理事長に抜擢されたのは、NEC・ド・ブラジルの社長時代の経営手腕を買われてのこと。経営のプロが病院経営の指揮を執ったことで、新風が吹き込まれた。
 石川氏が就任した頃は、経営陣と医師団の間で一部衝突が起きていたが、懇談する機会を十分に作ってお互いへの信頼感を高めるなどの努力がみのり、現在の良好な状態が築きあげられた。
 就任当時、病院は巨額な債務を抱えた状態だったため、石川氏は民間企業で培った豊富な銀行人脈を活かし、短期で高金利なものが多かった債務内容を、長期で低金利なものに借り換えるなど財務体質改善を進めた。
 病院の環境向上や設備投資にも注力し、新機器設置や改修工事を次々に行った。快適な受付応対、清潔で居心地の良い室内環境を心がけ、非常用発電機が1機しかなくて手術室しか非常電力が供給されていなかったのを、3機増やして病室を含めた病院全体を最大36時間対応できる様にするなど、院内環境を格段に向上させた。
 筑波大学をはじめとする日本の教育機関との提携など、日本との関係も任期中に大きく強化された。そのような「小さな改善」の積み重ね、医師団との関係良化によって評判が上がって患者数が増大し、就任当初の売上を数年で2倍にするなど財政再建を実現した。
 新型コロナウイルス対策では、「コロナ禍で不安な日々を送る高齢者や、ブラジルに滞在する日本人への要望に応えたい」という石川氏たっての願いから、パンデミックが始まった昨年3月には日本語対応の緊急コールセンターを設置し、8月には医師の診察も行えるドライブスルー方式のPCR検査を開始した。それまで外注で3日かかっていたPCR検査の結果を、今年2月からは24時間に短縮できる自前の機械を導入した。
 石川氏から佐藤氏へは、病院拡張プランが優先課題としてバトンタッチされる。病室や駐車場数の倍増計画、JICA助成金で最新機器を備えたがんセンターを今後1年で大幅改修するなど、石川氏の路線を引き継いだ活動が継続される。
 SC病院理事長以外にも、石川氏はブラジル日本文化福祉協会会長、不動産開発のCNL社代表、コーヒー農場ファゼンダ・アリアンサの経営など複数のわらじをはき続けてきた。
 石川氏は「地域社会への貢献をモットーに、改革に着手してきました。多くの人々のご支援と日本からはJICAなどのバックアップにより、一歩一歩前進することができました。今は新理事長にバトンタッチでき、一つ重荷を下ろせてほっとしています」と笑顔で胸をなでおろした。ただし今後も、評議員会議長として病院の運営に関わっていくという。

 

image_print

こちらの記事もどうぞ