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JICA=チリ大学生に日本の近代化講義=北岡理事長「武士の倫理が発展の原動力」=日本研究講座設立支援事業で

講演する北岡JICA理事長

講演する北岡JICA理事長

 国際協力機構(JICA)は、チリ国立サンティアゴ大学における「JICAチェア(JICA日本研究講座設立支援事業)」のプログラムとして、6月24日から8月13日まで「日本の発展(Development of Japan: THE PROCESS OF MODERNIZATION )」をテーマとした全8回(8単元)の講座をウェブ上で実施している。その第2回目が、6月30日午後8時(日本時間7月1日午前8時)から行われ、北岡伸一JICA理事長が「明治維新:日本近代化の原点」について1時間講義した。同講座には、6月25日時点で140名の受講者が登録。来年度は、卒業要件の単位数に算入できる履修科目にすることも計画されている。

 「JICAチェア」は、日本の開発経験を学ぶ機会を国外にも広げるため、開発途上国各国のトップクラスの大学等を対象に、「日本研究」の講座を設立する支援を行うプログラムだ。開発途上国の各分野で、将来のリーダーとなる人材の育成を目指し、日本の大学と連携し、欧米とは異なる日本の近代化や開発協力の経験を学ぶ機会を提供して、自国の発展に役立てられるように2018年に「JICA開発大学院連携プログラム」が立ち上げられた。
 この取り組みの一環として2019年、JICAは放送大学学園と共同で、ビデオ教材のシリーズ「日本の近代化を知る7章」を制作した。今年はポルトガル語版DVDも完成。同教材は、放送大学BS放送(BS231チャンネル「BSキャンパスex」を通じて繰り返し放送されている。
 今回、サンティアゴ大学の講義は「日本の近代化を知る7章」のスペイン語版を教材として使用し、8単元で構成している。第1単元は導入、第2から8単元は、「日本の近代化を知る7章」の各章を扱う。

あいさつするサンティアゴ国立大学のセザル・ローザス副学長

あいさつするサンティアゴ国立大学のセザル・ローザス副学長

 最初にサンティアゴ大学のセザル・ローザス副学長が、「今回もJICAから日本の発展に関する32冊の本を寄付していただいて大変感謝しています」と、両国のパートナーシップの元で本講座を開設できたことに謝辞を述べた。
 北岡理事長の講義は、スペイン語と日本語の同時通訳で行われた。既に受講者が「明治維新:日本近代化の原点」の歴史を勉強してきたことを踏まえて、質疑応答方式で講義は進められた。
 質問には「チリも日本と同じようなプロセスで開発が成功できるか」「日本の近代化について、明治以前から継続して来た要素はどのようなものがあったか」「明治維新後に欧米を視察した岩倉使節団が日本に与えた影響はどのようであったか」などが寄せられた。
 北岡理事長は、日本が近代化する中での特徴として「武士の倫理」が残ったことを挙げ、忠誠や勤勉といった精神性が、明治維新後の産業を発展させる原動力になったことを解説した。
 日本の資本主義の父・渋沢栄一を例に挙げ、その精神が商人の間でも受け継がれ、売り手も買い手も世間も豊かになる「三方良し」で、多くの人々が全体のために働いてきた事を説いた。
 最後のあいさつで北岡理事長は、「JICAは国際協力機構という名称ですが、他の国々が開発途上の国々に援助や支援という言葉を使うのに対し、協力という言葉を使って、上からこれをしなさいと言うのではなく、相手と一緒にやっていくという信念でユニークな行動をとってきました」と、日本が外国に援助するスタイルも、欧米とは異なるやり方で行ってきたことを強調した。

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