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《リオ市》スラム街でも一斉接種=マレー区のファヴェーラで

ワクチン接種を受ける人(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)

 リオ市市役所とオズワルド・クルス財団(Fiocruz)による新型コロナワクチンの実験的接種が続いており、29日からはリオ市内でも最大のマレー区の複合ファヴェーラ(スラム街)での一斉接種が始まったと同日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
 マレー区で使われるワクチンは、Fiocruzが国内生産を担当しているアストラゼネカ社製のワクチンだ。
 都市周辺部のスラム街では、食べていくためには感染が蔓延している時でも働きに出なければならない人が多い上、狭い家に大勢が住んでいるため、社会的な距離の確保や自主隔離が困難になりがちだ。そのため、周辺部やスラムでは都市中心部よりも感染者や死者の発生率が高く、ワクチンの接種率は低めだ。
 Fiocruzでは、マレー区のスラムで一斉接種を行えば、感染率や死亡率が通常より高く、変異株が入ってくれば感染が広がる危険度もより高い地域での感染拡大を抑制できる上、ワクチンの有効性と、一斉接種による防壁形成効果を確認できると考えている。
 接種対象となるのは、市の予防接種計画ではまだワクチン接種を受けていない18歳以上の成人約3万1千人だが、市役所とFiocruzは、既に接種を受けた人と、今回、一斉接種を受ける人の双方の経過観察を行う予定だ。

 ワクチンの有効性は、年齢や性別、どのワクチンが並行して使われているかなどに加え、接種後に感染したか否か、感染した場合は接種から発症までどの位時間がかかったか、重症化や死亡した例がどの位出ているかなどを見て判断される。
 一斉接種は4日間で行われ、スラム内には121カ所の接種会場が用意されている。対応時間は平日が8~17時、日曜日は12時までだ。この期間中は、初回接種を受けたが2度の接種を受け損なっている人や、期間中に2度目の接種予定日が来る人もワクチン接種を受ける事ができる。
 Fiocruzの研究は、昨年の6月に始まった「新型コロナに目を向けた健康コネクション」と題するプロジェクトの一環だ。このプログラムでは、スラム街でのパンデミック撲滅のため、検査実施や遠隔対応サービス、自主隔離支援などに力を入れており、マレー区の住民を対象とする調査の進展は重大な意味を持っている。
 このプロジェクトでは既に、PCR検査と抗体検査を2万7千回以上、遠隔診断を1万500回以上、行ってきた。さらに、新型コロナへの感染が確認された人がいる家庭1千世帯以上に寄り添い、支援する働きを続けている。

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