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アジア系コミュニティの今(5)=「民主主義、自由、主権を擁護」台湾編〈4〉

張崇哲在ブラジリア台北経済文化事務所代表(大使)

張崇哲在ブラジリア台北経済文化事務所代表(大使)

 前回に続き、ブラジルの台湾人移民の調査に積極的な張崇哲在ブラジリア台北経済文化事務所代表(大使)に、ブラジルの台湾人移民等に関する話を聞いた。張氏は台湾外務省で外交官として、長年、ヨーロッパ、アフリカ、ブラジルなどのポルトガル語諸国を中心に任務に当たってきた。
――華僑を含む台湾人は、時代を問わず、中国本土の政治的、社会的、経済的構造の性質上、自然と海外に移住するのでしょうか?
張氏-あらゆる時代に移民の歴史があり、台湾には400年前、経済的な理由で新たな土地を耕作するために漢民族の人々が移住しました。この最初の移民の波で、彼らは台湾の原住民の人々と結婚し、台湾で別の文化を形成しました。
 1949年、中国人は中国本土から逃げ出し、共産主義政権に反対票を投じました。90年代に社会主義市場経済が開始された後は、都市と農村、沿海部と内陸部の地域格差が深刻化し、中国本土からはより良い生活を求めて人々が海外に移民し始めました。
――1950年代から現在まで、台湾人はどのようにブラジルに入国するビザを取得しましたか?
張氏-1950年代から1974年まで、台湾の人々は台北のブラジル総領事館でビザを申請できました。しかし、1974年以降、ほとんどの台湾人移民は、今も台湾と外交関係にあるパラグアイに最初に行きました。そして、ブラジルに入国する機会を探しました。現在、イタマラチー(ブラジル外務省)は台北に事務所を設置していますが、東京の大使館に属しており、それは総領事館と大使館の間の位置づけです。
――ブラジルの日本人移民と台湾人移民を比較すると、どのような違いを感じますか?
張氏-日本人は日本政府からより多くの支援を受けています。台湾政府は、ブラジルと外交関係がない中で、ブラジルにいる台湾人を保護し、支援しなければならないという課題に直面しています。50年代と60年代の最初の台湾人移民は、日本人移民と共通の言語や文化を有していたため、日本人移民から多くの助けを得ていたと思います。
――ブラジルと他国の台湾人コミュニティを比較して、ブラジルのコミュニティの特徴は?
張氏-60年代の移民の多くが農民とその家族でした。 通常、経済状態の良い人々は北米に行き、悪い人々は南米に来ます。ブラジルには南米最大の台湾人コミュニティがありますが、世界では米国や日本、アジア諸国のコミュニティが大きいです。
――日本では中国の軍事介入を恐れるニュースがありますが、本当にその可能性は高いと思いますか? また、台湾が米国と国交断絶した70年代のように、現在、中国の脅威を恐れて海外に移民する台湾人はいますか?
張氏-中国の野心は今も昔も顕在です。これは中国共産党の性質と関係があり、民主的な価値感や人権、国際条約よりも、共産主義体制を強化するために、国民には国内の不満を国外に向けさせる必要があります。
 90年代に台湾が民主化された後、台湾の人々は台湾の政治システムへの信頼を高めました。そして、経済発展とハイテク生産能力により、世界から多くの支持を得ています。
 今は70年代の台湾ではありません。中国軍の頻繁な軍事演習と脅威にも関わらず、台湾の株式市場は活況を呈しています。これがすべてを説明しています。世界が中国の脅威と野心を認識しており、台湾は、民主主義、自由、主権を擁護するために、世界の志を同じくする国々と団結し続け、この連結は日々強くなっています。(続く)

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