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米国三世カレン・ヤマシタさん=全米図書協会米国文学功労章受章=日系初「広大で革新的な作品」

ライブ表彰式に出演したヤマシタさん。(https://www.youtube.com/channel/UCKjAJDxQwyrObh-ph3OZtng)

ライブ表彰式に出演したヤマシタさん。(https://www.youtube.com/channel/UCKjAJDxQwyrObh-ph3OZtng)

 ブラジルと縁が深い日系アメリカ人三世の作家、カレン・テイ・ヤマシタさん(70歳)が全米図書協会よりアメリカ文学功労章(Medal for Distinguished Contribution to American Letters)が授与され、11月17日に開催された第72回全米図書賞授賞式で表彰された。
 ヤマシタさんが受けたメダルは、米国文学界に大きな影響を与えた作家に贈られるもの。ヤマシタさんがこれまで「ジャンルを超えた広大で革新的な作品」を生み出してきたと評価され、受章者に選ばれた。
 歴代の受章者(https://www.nationalbook.org/programs/dcal/#tab-2)にはノーベル文学賞受賞者のトニ・モリスン、日本でも人気の高いレイ・ブラッドベリやスティーブン・キングら錚々たる世界的作家が名を連ねている。ヤマシタさんは34人目で、日系人としては初の受賞者となる。
 ヤマシタさんはカリフォルニア州オークランド生まれの日系三世。ミネソタのカールトン・カレッジで英文学と日本文学を専攻し、1971年に早稲田大学で1年半の交換留学、75年からは日系ブラジル人の移民を研究するために渡伯。
 日系移民の広範な歴史を知るため、日本人移民の子孫やコミュニティで取材などにあたり、10年もの間ブラジルで過ごした。その間にブラジル人建築家のロナウド・ロペス・デ・オリベイラ氏と結婚し、短編や戯曲を書き始めた。
 ブラジルに関する作品は1990年に発表の処女作『Through the Arc of the Rain Forest(熱帯雨林の彼方へ)』、92年発表の日本人移民の歴史小説『Brazil-Maru(ぶらじる丸)』がある。
 家族が所有する手紙や日記、写真や公式文書などから第2次世界大戦中の日系人強制収容所を回顧する『Letters to Memory』、1968年のサンフランシスコでアジア系アメリカ人の市民運動を描いた『I hotel』など日系人やアジア系アメリカ人作家としての作品を多く記している。
 同章は全米図書賞の元受賞者や元最終候補者、元審査員、全国の作家や文学専門家が選出し、最終的に同協会の理事会が受章者を決定する。
 表彰式の模様は同協会公式のユーチューブチャンネル(https://www.youtube.com/channel/UCKjAJDxQwyrObh-ph3OZtng)上でも中継されており、現在も視聴可能だ。
 メールで本人に受章について感想を求めると「光栄です」と喜んだ。以下、一問一答。
【本紙】最近、アメリカ映画やドラマの中でアジア系や日系人の描かれ方が変化しているという記事を見た。文学界では?
【ヤマシタ】近年、米国のメディアでアジア系米人の存在感が増しているのは事実。とはいえ未だ映画では、真っ先に死ぬ登場人物である可能性が高く、ステレオタイプや東洋的なイメージを持たれ続けています。
 しかし、アジア系米人の監督や俳優の認知度が上がってきているので、表現方法に前向きな変化が見られることを期待しています。あとは、私たちの視点で、私たちの物語が語られることです。
【本紙】ブラジルで日系移民について10年近く研究されたが、興味を持ったきっかけは何だったのか。
【ヤマシタ】トーマス・J・ワトソン奨学金で外国に渡航する機会を得ました。日本で勉強や旅行していたので、ある程度の語学力はあったのですが、どうしても南米に行ってみたかった。
 奨学金で渡伯し、伯国と米国の移民コミュニティを比較する研究プロジェクトを立ち上げました。最大の日本人移民社会がアメリカやハワイでなく、ブラジルだと知ったときから驚きの連続でした。
 その研究は、1992年に出版された歴史小説『ブラジル丸』(Coffee House Press)の執筆に結実しました。この作品がポ語に翻訳されることはありませんでしたが、この作品は皆さんのコミュニティのために書かれたものです。また、フィクションとノンフィクションが混合する『Circle K Cycles』(2001年)は、日系ブラジル人の日本デカセギ経験を描いたものです。

 

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