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《ブラジル》大統領「自由失うなら死んだ方がまし」オミクロン対策で接種証明義務化を拒否=5日間の隔離とPCRで代行

ボルソナロ大統領(Foto: Clauber Cleber Caetano/PR)

 【既報関連】世界中でオミクロン対策が取られる中、連邦政府は7日、国家衛生監督庁(Anvisa)が訴え続けてきた入国者への接種証明の提示義務化を拒否する一方、非接種者には5日間の隔離と隔離期間終了時のPCR検査で陰性である事を求めると発表したと7、8日付現地紙、サイトが報じた。
 Anvisaは11月はじめから、接種証明の提示義務化などのより厳しい入国規制を繰り返して要請し、官房長官、保健相、法務相、インフラ相の連名で出た省庁令の見直しを求めていた。
 だが政府は7日、搭乗72時間以内のPCR検査での陰性証明の提示は求めるが、接種証明の提示は義務付けない方針を明示。その代わり、非接種者には5日間の隔離を義務付ける。隔離解除の条件は隔離終了時のPCR検査で陰性である事だ。なお、接種完了者には隔離義務は課さない。
 これらの方針はシロ・ノゲイラ官房長官とブルーノ・ビアンコ総弁護庁(AGU)長官を通して発表された。両長官は接種証明への言及や隔離場所などの詳細の説明、質疑応答も回避した。
 非接種者への5日間の隔離適用はAnvisaが11月12日に提出した文書にも記載されているが、同庁が同時に求めた接種証明の提示義務化は完全に拒否された。

「接種証明は新しい首輪」という表現でAnvisaの要請を批判する大統領(7日付G1サイトの記事の一部)

 両長官はこの判断がどのような根拠に基づいたものかを明らかにしていないが、接種証明の提示義務化拒否が大統領の意向を汲んだものである事は明らかだ。
 ボルソナロ大統領は7日、オミクロン株流入阻止に向けた入国規制に関して、「Anvisaがまた空路封鎖などと言い出した」と批判。接種証明に関しても「こんなに大勢死んでいるのに、なんで今さら証明書が要るんだ」「国民に新しい『首輪』をつけようとしている」「我々の自由はどこへ行った」「自由をなくす位なら死んだ方がまし」とまくし立てた。
 この最後の言葉は、ケイロガ保健相が会合後の発言の中で繰り返した。同相は個人の自由を擁護し、国際社会との権利と約束を尊重すべきと強調後、「変異株の発生が確認された国が国境封鎖という形で罰せられてはならない」とも述べた。ただし、Anvisaは国境封鎖を求めていない。
 大統領の側近達は「大統領はイデオロギーに基づいた発言をする事は求めていなかった」としており、保健相による引用は個人的な判断だ。中道勢力は「大統領支持派の否定主義者の歓心を買うため」とし、同相の発言を強く批判している。感染病学者でペロタス連邦大学のペドロ・アラル教授も、「保健相にあるまじき発言」としている。

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