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名実ともにKINGに成長=会計業界の最大手=半世紀の節目を祝う=一人で始めた下本社長「利益は会社に還元」

ニッケイ新聞 2010年6月24日付け

 「50年前、僕一人で始めました」とKING会計事務所の下本社長(74、二世)は感慨深げに語った。15日目に初めての従業員を雇い、今では98人を数える。うち会計士の有資格者は35人、全社員の6割が大学卒という高学歴企業になった。「利益は会社に投資する」を真面目に実践し、今では業界1、2位を競う会計事務所に成長。17日正午、サンパウロ市ペーニャ区の社屋講堂で50周年記念式典を行い、来賓や社員ら150人と共に節目を盛大に祝った。

 顧客数は600社を数え、会計士業界では国内最大手といわれる存在となり、「つまり南米でもそう。もう10年ぐらいこの地位を維持している」という。83年に移転してきた現在の敷地には、3棟合計で3500平米の建築面積を持つ本社ビルが建ち、スポーツ施設や食堂も完備する。
 式典冒頭、下本社長は「まず結婚生活47年の妻に感謝の言葉を述べたい」と切り出し、「ここまで会社が成長できたのは、従業員全員が効率的に役割を果たしてきてくれたおかげ」といあわせた全員に礼をいった。
 来賓のサンパウロ州会計事務所協会のジョゼ・マリア・シャピナ会長は、「我が業界はコンピュータ化の波に洗われ、金融危機による影響を受け、大激変期にある。その中で50年を迎えて成長を続けており、まさに業界リーダーにふさわしい」と讃え、次期社長と目されている下本マルシオ雅生副社長(まさお、47、三世)に対し、「いずれ偉大な父を越える存在になるだろう」とエールを贈った。
 サンパウロ州商業協会のアレンカール・ブッチ会長も「企業犯罪が複雑化する時勢にあって、わずかな間違いが犯罪として問われ、会計士の責任はより重くなっている。その中でKINGは顧客を満足させる対応をしている」と語った。
 その後、下本社長夫人の千枝子さん、副社長夫人のジルシ・アケミさん、アルリンド・シャーベス・マルチンス役員夫人のアパレシーダさんの3人に花束が贈られた。
 長年の勤務者を代表して、勤続28年の田中ファチマさんに記念品が渡された。
 下本社長は取材に答え、3点の経営哲学を強調した。一つめは「金儲けだけでなくお客様に喜ばれる会社」、二つ目は「自らは給与だけを取り、営業利益は全て事業に投資する」、三つ目は「契約書にある項目に関して顧客企業が罰金に問われた場合はすべてKINGが負担する」。同社長は「どの会社でも一番怖いのはフィルカル(監査官)だから、うちに頼めば安心」と胸を張る。
 社名の由来は「会計業界のKING(英語の王様)を目指す」という社長の初志からきている。「普通の会社なら役員は金曜の午後から休んでしまうけど、僕は夜7時頃まで仕事をする。それが信用につながるんです」とうなずいた。

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