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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(139)

 吉川もこのような情報を手にしていた。到着日とされる9月10日を指を数えてまっていた。軍艦が日本からまっぐすブラジルにくるには20日かかると計算した。邦人社会のなかでは、もうすぐサントスに母国の軍艦が入港するという噂でもちきりだった。使節団を迎えるために手に手に国旗をたずさえて、サンパウロに集まってきた。奥地からやってきた200 ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(138)

 1946年4月10日、ジェラルド局長の取り調べに対する高橋先生の供述によると、アラサツーバへの臣道聯盟の機関誌は彼のところにまとめて送られて、それを会員に配布したと語っている。また、日本からの情報については集会場所にしていた有田マリオのリスボア・ホテルでラジオ放送を通して手に入れたとも語っている。  サンパウロの奥地で苛酷な農 ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(137)

 DOPSへの根来氏の証言によると、会員数は2万人、支部が51あり、これには根来良太郎のアララクァーラ支部も入っている。渡真利氏はそれ以上の数を提出している。会員3万人、支部は64。これら支部はサンパウロ州全域に散らばっている。支部が一番集中しているのはマリリアとツッパンで、次にポンペイア。この三ヵ所だけで、臣道聯盟の会員は3万 ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(136)

 そして、日本政府高官らの日本への引き揚げについて批判している。「戦時中はどのように行動すべきか、また、おこりうる虐待、困難に対しどう対処するか、政府代表者はブラジル在住の同胞を正しく導く義務があった。にもかかわらず、意味もない通達だけ残して、引き上げてしまった。もし、昔の武士のような人間だったら、帰国命令を受けたら、即座に退職 ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(135)

 「臣道聯盟」の創立についてはいろいろな説がある。  サンパウロ中央警察保護局のアルフレッド・アシース局長によると、「臣道聯盟」の前身は「謡同好会」で、この会は吉川退役中佐の案で1946年2月11日に発足した。「臣道聯盟」の創立者のひとりで、徳島県出身、サンパウロ市カラムル街1069番在住、当時64歳の根来良太郎氏によると194 ...

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月刊ピンドラーマ8月号配布中

 コジロー出版のブラジル情報誌『月刊ピンドラーマ』8月号が出版された。  今月号初掲載の「サラム・キッチン」では、シリア出身のサラム・アルサイドさんが絶品のアラブ料理のレシピを紹介。また同書によれば、ブラジル生活必携の書『楽々サンパウロ 2019‐2020年版』が、8月中旬発売予定。その他、グルメ、イベント、求人情報などが掲載さ ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(134)

 警察は他にも秘密あるいは不法団体が存在することを知ったが、多くの情報を得ることはできなかった。そのなかにアルバレス・マッシャドやプレジデンテ・プルデンテ付近に存在する「愛国連合日本人会」があった。また、「愛国同心会」もあったが、その会についてはDOPS局長はなにもふれていない。  その他、協同組合員を国粋主義にしたて、勝ち組に ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(133)

 戦後数か月たったころ、日系社会の殺人者、テロ実行者、不法団体のメンバーの訴訟提起を指揮したDOPS(サンパウロ州警察社会保安局)の局長、ジェラウド・カルドーゾ・ド・メーロは、「ブラシル在住の大半の日本人は日本は戦争に負けなかった。中でも過激な国粋主義の日本人(日経コロニアの80%を占める)は降伏があったのは確かだが、日本側の有 ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(132)

 1945年6月6日、沖縄戦がアメリカ軍の勝利におわり、ブラジルは日本との開戦を発表した。奇妙な言葉や習慣をもつ日本人はブラジル人の敵となったのだ。路上でのいやがらせが始まり、特に敗戦がわかってから、それが顕著になった。  「ジャポンが戦争に勝ったのなら、どうしてあっちに帰らないんだ」とブラジル人は日本人のおかしな発音をまねして ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(131)

 日本政府からの返答を得られず、アメリカのトルーマン大統領は秘密に開発してきた爆弾の投下を許可した。沖縄での戦闘を今後くり返せば、100万人以上のアメリカ兵が犠牲となると考えて、日本本土への攻撃に対し「日本の端から端までを沖縄戦のような目に合わせたくない」といったそうだ。  1945年8月6日、午前2時45分、ポール・W・チベッ ...

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