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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳

臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(168)

 9月9日、コレイオ・パウリスターノ新聞が「臣道聯盟の8人の指導者が『連合軍により座をおわれた』という情報をサンパウロの日本人に流した」という記事を報道した。それは日本の敗戦を全てのブラジル人が知っていることを臣道聯盟の指導者が認めたということだ。もし、本当のことを伝えた記事だったら、いままで臣道聯盟が行ってきたことを認めたこと ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(167)

 投獄や情報機関、社会、政治家たちの臣道聯盟に対する激しい追及にもかかわらず、まるで何事も起らなかったかのように、何人かの聯盟のメンバーは日本の勝利をかたくなに信じ、犯罪により組織の活動を続けようとした。終戦後1年経ったころ、警察は日本大使館宛の書類を手にした。内容は次のようなものだった。  「我々は終戦1年を迎え、母国から遠く ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(166)

 この法令が可決されたことで、コウト・フィーリョはこう思ったに違いない。  「なんとか〝丸〟とかいう移民船に乗った何万人もの黄色いヤツらがやってきて、戦場地のような植民地にばら撒かれた。侵略手段として、黄色い危険者たちはその地に根を下ろしていった。ところが、抜け目のない日本政府は執拗に迫り、法を破って、日本人を際限なく送り込んだ ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(165)

 結局、その間、23人の死人、86人の負傷者、合計109人だが、その内訳は66人が認識組、43人が勝ち組となる。43人の勝ち組のうち、40人が6月末のオズワルド・クルスの事件のときに殺害されている。殺害、あるいは殺害未遂の加害者リストには45人の名が挙げられた。中館ジョージ調査員の意見でこれら45名はテロリストだと指摘されている ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(164)

 「エリーゼオス宮殿での会合は完璧な成果を治めた」と6月29日の新聞で発表した。「次のことでそれが証明できる」と得意になり「会議招集の前には州内で日本人テロリストにより87人が暗殺された。殺害された者の数は9日から17日の間に10人にのぼった。会合から12日目を迎え、今、サンパウロに平和がおとずれた。日系社会は落ち着きを取り戻し ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(163)

 通訳として、スイス領事館の森田よしかずと、ジョゼ・サンターナ・デ・カルモが招集され、二人は臣道聯盟の調査のさい、カルドーゾ所長により働きを認められての招集だった。当日は500人から600人ほどの日本人社会の代表者が州知事官邸の赤い広間を埋め尽くした。  はじめに、スイス全権公使はすでに日本人たちに配布されていた書類を読み上げた ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(162)

 取り調べ責任者のカルドーゾ署長の報告書のなかに訴訟の方法について、ある手段を提案したところがある。訴訟は内容によって二組に分ける。一組はテロリストとして国外追放にするグループ。もう一組は国の治安にかんがみ、軍事裁判省が処理する。  ところが、大量の日本語による証拠書類で、訴訟を二つに分けることは不可能だった。そこで、まず、法務 ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(161)

 「全ての団体は日本の勝利を誇りとしていた。ほとんど無教養な者たちの日本人社会に勝利の情報が受け入れられるのは当然だった。  これら団体の広報は奥地へ向けた大量の謄写版印刷、あるいはカーボン紙使用の手書きのパンフレットによるものだった。臣道聯盟は会員数をはるかに超える10万人に向けて戦勝を伝えるパンフレットをばら撒いた。それには ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(160)

 上司や世論の関心を得る最上の機会であり、警察組織のキャリアの道を駆け上ろうと、DOPSの秘密警察署長であり、臣道聯盟の調査の任務を受けたカルドーゾ署長は精力的に働いた。  4月にDOPSの州第5警察のヴェナンシオ・アイレス局長に任命されて以来、独自の行為、あるいは秘密組織を作って、テロ行為などの非社会的行為を行う日本人の国外追 ...

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臣民――正輝、バンザイ――保久原淳次ジョージ・原作 中田みちよ・古川恵子共訳=(159)

 臣道聯盟の幹部だった渡真利成一は必要があれば、負け組をつぶすようにと聯盟支部に内密に指示していた。「行動者の手引き」と題した本人制作のパンフレットには次のように記載されている。  「その機会が来たときには、悪党で国賊のリーダー抹殺を実行する組織を作ること。また、自分の過ちに気付かず、ましてや後悔しない人間をこの世から除去するこ ...

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