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日本の水が飲みたい=広橋勝造

連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(122)

ニッケイ新聞 2014年3月22日 あくる日、居酒屋『桃太郎』やレストラン『ポルケ・シン』に近いバンデイランテス病院の救急治療室のベッドに強い痛み止めの薬で意識朦朧のジョージが見知らぬ『観音』さまに見守られ横たわっていた。 「(大丈夫ですか?先生)」 「(胃袋の静脈が寸断されて重傷の内出血だった。輸血の後、手術の手配をしたのだが ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(121)

ニッケイ新聞 2014年3月21日 「ダメです。森口氏を裁くのに不法な手段を用いると、彼女が冥界に呼び戻され、逆に彼女は『閻魔』さまから再審に差し戻されてしまいます」 「? 何の事だかサッパリ・・・」 「殺された彼女が幽霊になってしまうのです。信じて下さい」 「ボーズさんが言うのであれば信じるが、?~」 「ジョージ、森口は毎晩こ ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(120)

ニッケイ新聞 2014年3月20日 『その被害者の名前は『田口聖子』、年令二十八歳、独身、東京都八王子市出身、職業は新聞記者、南伝仏宗(架空)の解散の取材中に森口氏から性的暴力を受け、入院、起訴しようとした彼女が院内感染で死亡した事で不起訴になったようです。これまでの捜査では、森口はニューヨークへ国際布教の名目で宗教家と偽って飛 ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(119)

ニッケイ新聞 2014年3月19日 「古川さん、ご苦労でした。彼女の情報が充分取れましたね」 「・・・」 「古川さん、霊気をがっちりキャッチして、よくここまで・・・。大成功でした。それも成仏前の霊気をがっちりと・・・」 「霊気なんかじゃなくて『聖正堂阿弥陀尼院』さんそのものでしたよ」 「黒澤和尚も、密教でここまで鮮明に霊気を捉え ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(118)

ニッケイ新聞 2014年3月18日 『問題霊ですか』 《そうです。問題霊はいくら努力しても、成仏出来ないそうです。この世で他殺と判断されていればよかったのですが、森口さんの巧妙な手口で病死と判断され、森口さんに刑罰が下りません。その状態では成仏出来ないそうです。それで貴方達にお願いする為にローランジアに飛んできました》 『私達に ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(117)

ニッケイ新聞 2014年3月15日 「そうですか。その人影、きっとこの車にいますよ」 「えっ! 中嶋さん、本当ですか? それ・・・、そう言われれば、私も、なにか気配を感じます。あれは霊影(れいえい)だったのでしょうか」 「冗談はよして下さい。和尚さん二人がコンビして私を驚かすなんて趣味が悪いですよ」 「冗談ではありません。確かに ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(116)

ニッケイ新聞 2014年3月14日 古川記者が重い腰を上げて、 「じゃー、帰りますかー」 「はい」黒澤和尚と中嶋和尚が元気よくソファーから立ち上がった。 「(送って行くか?)」古川記者の誘いにマルレニが、 「(ありがとう。私達、朝までここにいるの)」 「(じゃー、俺達帰るから)バイバイ」皆、抱合って別れを惜しんだ。 帰る車の中で ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(98)

ニッケイ新聞 2014年2月14日 「私の祖先は江戸時代からずっとお寺の住職です」 「じゃー、中嶋さんもお寺の住職ですね?」 「自動的には、・・・、そうです。ですが、それに疑問を持ちまして・・・」 「疑問?」 「ええ、私と一緒に修行していたサラリーマンあがりの立派な方がいて、この方は住職どころか、修行後の行く場所もありません」 ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(115)

ニッケイ新聞 2014年3月13日 状況がはっきり理解出来ない古川記者に、中嶋和尚が心配して、 「どうしたのですか?古川さん」 「中嶋さんのお経が原因で、俺達が彼女等にセックスサービスしなくては・・・、大丈夫だろうか・・・」 ポルトガル語が少し分かる黒澤和尚が、心配顔の古川記者に代わって、 「要するに、ただでー、出ましょうと言っ ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(114)

ニッケイ新聞 2014年3月11日 「(私、名前、黒澤、ある。よろ~しく、ある)」 黒澤和尚はなんとかカタ~コトのポルトガル語で答えた。 「よし、これで三人、いや、三組出来た。じゃー、出よう」 「(どこへ行けばいいのだ?)」 一番セクシーで大きなマルレニが少し怒った顔で、 「(なによ、この日本人達、なんにも分かっちゃいないわ・・ ...

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