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講演会の様子
講演会の様子

日本語学習に強力な味方=OJAD、南米で初講習=文章から音声を自動生成

 サンパウロ大学(USP)や関係学会により、10~13日まで開催されている日本語教育に関する国際シンポジウム『EJHIB2015』の事前行事として日本語教師向けワークショップが9日、ニッケイパレスホテルであった。早稲田大学中川千恵子、東京大学大学院峯松信明両教授が講演を行った。峯松教授は自身の研究チームが開発した世界初のオンライン日本語アクセント辞書『OJAD(オージャッド)』を南米で初紹介。任意の文章にイントネーション記号を付与し、発声の見本となる音声データを自動生成する「韻律読み上げチュータ・スズキクン(以下スズキクン)」の機能には、参加した日本語教育関係者から大きな注目が集まった。

 峯松教授によれば、「スズキクン」が生成する音声は、日本語検定一級保持者に対して行われたイントネーションテストの結果よりも正答率が高く、日本語を母国語とする教員がいない環境での発音教育に効果的であるという。
 実際にインドネシアのスピーチコンテストでは、母語教員のいない環境で学ぶ生徒が「スズキクン」を利用し、作文のイントネーションを学習し、優勝した。
 講演会に参加したブラジル日本語センターの大月晴美研修コーディネーターは、「一世の教員が続々と引退し、これからは、日本語を母語としない二、三世や非日系人の教員が日本語教育の中心となっていく。その中で発音教育は課題の1つだった。「スズキクン」は教師養成にも役に立つ」と『OJAD』活用に意欲を見せた。
 『OJAD』は3年前の公開以来、日本国外を中心に50万アクセスを記録。「スズキクン」以外にも日本語教育で使われる代表的な教科書19種類から、名詞及び用言のアクセントを検索できる「単語検索機能」や「後続語検索機能」、「任意テキストを対象とした用言検索」の3機能が実装されている。
 峯松教授は「自然に聞こえる発音を身に付けたいと考える学生は多いが、教師本人が発音教育を受けていないことも多く指導が難しい。音声教育のインフラを整える必要がある」と語り、『OJAD』の活用を呼びかけた。

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