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模擬共同組合=メルコスル研修生ら実習=「大変だったけれど、みんな良く働いた」=コチア農業学校で=鶏肉と乳製品〝製造販売〟

5月7日(水)

 「考えていたより大変だったけれど、みんな良く働いたので、楽しいわ」と初めての経験を話すマルティラさん。パラグァイ人研修生で、コーペラチバ・フランゴの〃組合長〃だ。サンパウロ州ジャカレイ市にあるコチア農業学校で実施されているメルコスル農業後継者研修が四年目を迎えた。新しい実習の試みの一つとして南米七カ国三十五人の研修生を二つのグループに分けて「協同組合」とした。Cooperativa FrangoとCooperativa Laticinioだ。
 コーぺラチバ・フランゴの組合長に選ばれたのが、女性のマルティラさん。五月一日に休日を返上してみんなで鶏肉作りを実施した(写真)。五十五日かけて育ててきたひな鳥を製品にかえる日だ。
 この〃組合〃は、コチア農学校から利子なしの融資を受けて五百二十六羽のひなを購入した。鶏肉の販売代金で返済する、というのが融資条件だ。「二百十九羽ものひなが野良ネコの犠牲になってしまい、残ったのは三百七羽だけ。悔しいけど、自分たちの注意が足りなかったからよ。もう一回挑戦するわ。今度はみんなで交替で、寝ずの番をしてひなの犠牲を減らすつもり」とマルティラ組合長は反省をしながらも、意欲満々だ。
 融資の返済は、との質問には「借りたおカネは返済します。赤字にならないけど、利益も出ないと思う。だから、次が楽しみなの」という返事だった。鶏肉は、五月十日のメロン祭り会場でも販売される。
 もう一つの組合、コーペラチバ・ラチシニオも負けていない。牛乳のチーズとヨーグルト、それに、アレルギーに無縁の山羊乳のチーズ作りに励んでおり、自分たちの製品もメロン祭りに出品するという。
 ネットメロンだけでなく、鶏肉も、酪農加工品も、すべて七カ国三十五人の青年たちの努力の結晶なのが特徴だ。この小さな「協同組合」体験は、国籍を越えた若者同士の協調精神の醸成、自立精神の発露、競争意識の啓発、問題解決の意欲形成などに大きな相乗効果を生んでいる。
 米州開発銀行・オイスカ・ブラジル総局・コチア農業教育技術振興財団の三者協力による人づくりプロジェクトの前途は明るいようだ。

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