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「大会の存続」「デカセギ犯罪」―海外日系人大会の〝焦点〟

10月4日(土)

 [既報関連]第四十四回海外日系人大会が、今年も東京で開催された。大会開催の前日、九月二十四、二十五日午前にはJICA国際協力総合研究所で、大会参加の代表者会議が開かれ、例年のようにさまざまな議題について討議された。席上、特に問題点が二つ、明瞭にされた。「大会の今後の存続」、「出稼ぎ子弟の犯罪」である。(さいたま支局、蓑輪政一支局長)
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 海外日系人大会は、五七年五月に開かれた海外日系人親睦大会が〃元祖〃。六〇年に第二回目の開催、このときから海外日系人大会と改称、六二年に第三回があって、以降毎年開催されてきたという歴史を持つ。この四十四回続いてきた大会が、来年から継続できるかどうかという瀬戸際に立たされている。
 理由は、開催のための費用捻出が困難になったこと。昨年の大会では約千二百四十六万円の出費だったというが、この約半分はJICAからの助成金、あとの半分は協会負担で、企業からの寄付、都道府県からの運営分担金や参加者の会費だった。
 ところが、JICAは十月一日から「国際協力機構」という独立行政法人となり、現在のところ、ここからの助成が難しくなる見通し。加えて日本の長引く不況から寄付金集めが難しくなるばかり。まさにダブルパンチ的状況だ。
 このような状況を踏まえ、海外日系人協会が、去る六月、十八カ国八十団体にアンケートを発信、これを参考にして今後の大会開催についての試案を作成、代表者会議に提示した。
 試案では、(1)大会を今後も毎年開催する。(2)開催場所は日本とする。(3)大会には皇室の臨席をあおぎ、代表者会議ではテーマごとの分科会方式を採用する。(4)開催時期は、一応十月をメドとする。(5)同時通訳は式典、全体会議には用意するが、分科会では参加者のボランティアで適宜行う――などがあった。
 問題の開催費用については、同時通訳の費用節減、参加者の会費見直し(増額方向)、賛助会員の積極勧誘と、その会費の大会への充当、などが挙げられているが、これだけで解決するとは思われず、関係諸機関や参加者の大きな協力、支援が欠かせないだろう。
 第二点。現在、在日日系ブラジル人の就学適齢児童・生徒は四万人いるという。代表者会議の中南米分科会で発言した、国外就労者情報援護センター(CIATE)の二宮正人理事長の説明によれば、四万人のうち約二万人が日本の学校に、約五千人がブラジル語学校に就学、あとの一万五千人が何をしているのかわからない。親は仕事で忙しく、子弟の面倒を見るどころではないのが大方の実情。ぶらぶらしているうちに、お決まりの悪の道にはまり込んでしまうということだ。
 現在、久里浜の刑務所で服役中の二十六人の外国人のうち二十三人がブラジル人。日本での外国人犯罪で大人は一位が中国人、二位がブラジル人、少年では一位がブラジル人というありがたくない発生数である。
 ブラジルで尊敬されている日系人が、日本へ来てどうしてこんなに犯罪を起こしてしまうのか―二宮理事長は悲痛とも思える声をあげた。在日日系ブラジル人のブラジルへの送金額は、コーヒーの輸出総額を上回るといわれるが、子弟の教育がなおざりになっていては、元も子もなくなってしまうというものだ。
 子供たちがみんな学校に行く、そうすれば少年犯罪に巻き込まれる数は激減、と考えるのは単純に過ぎる、とのそしりはまぬがれないが、とにかく、出稼ぎ者子弟の一〇〇%就学については、当事者は当然のことながら、日系社会としても真剣に取り組む問題であろう。

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