ホーム | 日系社会ニュース | 200人が「みらい」見学=地球温暖化研究に重責

200人が「みらい」見学=地球温暖化研究に重責

11月7日(金)

 八月にオーストラリア・ブリスベンを出港し南半球を観測周航中の日本の海洋地球研究船「みらい」(赤嶺正治船長)が二日からサントスに寄港。五日にその船内が一般公開されサントス大学の学生らおよそ二百人が見学に訪れた。
 全長百二十八メートル、八千七百トンと観測船としては世界最大級を誇る「みらい」には八カ国の研究員、技術者および日本人スタッフら約八十人が乗り組む。彼らの案内で研究施設から食堂までを見て回った来場者たちはつかの間のクルー気分を味わっていた。
 同日午後三時からのレセプション・パーティーにはサンパウロ総領事館の佐藤宗一首席領事、ブラジル日本文化協会の上原幸啓会長、各県人会長ら日系団体代表が多数出席、日本からは海洋科学技術センターの平野拓也理事長が参加し約七十人の列席者を前にあいさつした。
 そのなかで、理事長は「地球の七割を占める海だがそれについての知識は不足している」と強調。今回の航海について、「とりわけ欠けている南半球の海洋データ収集が目的。一九九九年にサンパウロで世界の海洋機関の集まりがあったときに採択された『サンパウロ宣言』が基にある」と述べ、「南半球での同一船による大規模な調査というのは例がない。今後のスタンダードになればと思っている」と締めくくった。
 佐藤首席領事は「日本の船がサントス港に碇泊するのは九八年の海上自衛隊練習艦隊以来」としたうえで、「サントスからはブラジル人研究者、技術者あわせて四人乗りこむ、と聞いている。こうした日伯両国の学術交流は継続してもらいたい」と望んだ。
 「みらい」はインド洋、大西洋を観測して巡り来年二月、オーストラリア・フリーマントルで航海を終える予定。
 海洋技術センターの金井知明広報担当によると、得られたデータは過去のものと比較することで、「現在環境問題として最も話題となっている地球温暖化に関する研究を進める上で極めて貴重となる」という。

image_print