1月15日(木)
どこへ行くのかUNEN?――。三百以上の傘下日系団体からの期待を一身に担って立ち上げられたブラジル日系団体連合会(UNEN)。十日に文協で定期総会と臨時総会が開催され、〃二〇〇二年度〃の会計報告と活動報告、役員改選が行われた。活動らしい活動もせず休眠状態で、志村豊弘前副会長によれば会計の「残金は0」だという。事実上、文協のお荷物ともなったUNEN・・・。新執行部では解散も視野に入れた対応を今後取るのでは、との話も聞こえてくる。
本来は、昨年四月に文協理事会が人事一新した時点で、UNENも臨時総会を開き、役員人事を変えるはずだったが、先延ばしにされていた。今回は、新民法施行により、UNENの定款を改正する必要に迫られたため、「ついでに役員改選も行った」(関係者談)という。
会長職は岩崎秀雄前文協会長から上原幸啓文協会長へ。第一副会長も志村豊弘前文協副会長から、吉岡黎明第一副会長にバトンタッチ。文協理事がUNEN理事も兼ねる人事となった。
岩崎前会長は役員改選が遅れた理由を、「渡部和夫さんに言っておいたんだけどね。新執行部は忙しかったんでしょ」と説明した。
UNENは〇一年に発足し、翌〇二年に団体登録した。加盟団体は約百三十だが、地方の連合会も多く参加しているため、傘下となる団体数は三百を超え、書類上は日系最大の連合体だ。
午前九時半から定期総会が開かれ、二〇〇二年度の活動報告と会計報告、役員改選などが行われた。その後、午前十一時から臨時総会も続いて開催され、主題である定款改正案が承認された。
〇三年の会計報告および〇四年の予算について、志村前副会長は「まだできてません。二〇〇三年の会計報告は三週間ぐらいのうちにレセイタ・フェデラル(連邦税務局)に持っていきます。二〇〇四年の予算は新執行部に任せています」と説明した。
UNENの活動について志村前副会長は「青年のイベントだけ」と語った。これは文協とUNENなどが共催して、日系青年を集めて合宿しながら識者の講演などをするもの。昨年五月は約三百人が集まった。
UNENの活動資金は、会員団体からの会費のみ。〇二年に初めてにして唯一会費を徴収し、約八千レアルの収入となった。それを使って〇二年の青年セミナー実施に六千レアルかかり、残った二千レアルに文協が資金を足して〇三年の青年セミナーが実施された。〇三年以来、会費は徴収されていない。つまり、UNEN自体の会計は「残金はゼロです」(志村前副会長)という状態。
そのため、今回文協が費用を支援する形で、三百超の日系団体に総会開催の通知を送った。「切手代だってバカにならない」と文協関係者は嘆く。
岩崎前会長はUNENの創立目的を、「世代を超えて全伯日系団体が団結して百周年祭を成功させ、日系社会の将来の発展につなげること」という。ただし、十四日現在で「UNENは百周年祭典協会に加盟していない」(志村全副会長)状態だという。
というのも、求心力を失う文協を補う形で発足したUNENだが、昨年、岩崎前会長から引き継いだ文協新執行部は、文協を全伯日系団体の代表と位置付け直し、定款に明記。加えて、UNENとは全く別に全伯規模の百周年祭典協会を発足させた。そのため、UNENの存在意義がどんどん薄れていった背景がある。
文協執行部には、UNENの存在意義に疑問を呈し、この前執行部の置き土産を事実上〃お荷物〃と感じている人もいる。「解散するにしても、総会を二回開かなくてはならないなど、ばかにならない費用がかかる・・・」(文協関係者)とため息を漏らす。
新執行部による、公式なUNENの新方針はまだ発表されていない。
その他の新執行部人事は次の通り。第二副会長に伝田英二・文協副会長、専任理事に岩水政則マリオ文協専任理事、会計専任理事は妹尾忠美マリオ文協会計理事と横滑りの形となった。
監査役は石田俊郎(サント・アンドレ)、池崎博文(サンパウロ)、伊藤実(イタペチニンガ)。補欠監査役は矢野敬崇(サンパウロ)、佐道芳郎(リンス)、垣本憲治セルジオ(バストス)で、前回の執行部からは一人も留任していない。