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コラム 樹海

 こうして、だんだんブラジルの日系社会と日本との縁は遠くなっていくのだろう▼海上自衛隊練習艦隊の練習艦『かしま』の乗員を迎えて、歓迎はどうみても低調だった。バラつきはあったが、各県人会の歓迎は別である。練習艦隊を迎えたからといって、どうしても歓迎しなければ、ということはない。ただ、以前と比べてどうしようもないほど、熱が感じられないのである▼本紙十七日付で紹介したように、誰のせい?寂しい歓迎会、「コロニア総出」今は昔、である。埠頭で『かしま』を迎えたのは百人足らずだった。文協の大講堂は歌謡ショーなら、もう少し入場者がある▼一世たちに活力がなくなったのは、いつもふれているとおりである。互いに人(たにん)のことは言えない。〃老人性億劫症〃が高じているのかもしれない▼練習艦隊がサントスに寄港した初期は、若い乗員と二世女性との間に恋愛関係が生じ、実際結婚までいったカップルが何組かあった。在伯日本人の数が十万人を割ったころから熱気がなくなったような気がする。三世、四世は減らず、むしろ増えたにもかかわらずだ▼自衛隊歓迎は、娯楽ではないが、娯楽が多岐・多様化して一つ一つの濃度が薄まって、感激度も低減したとみえる。自衛隊員に限らず、日本からの訪伯者への接し方が、みんなそうなっていくのだろう。そして、日本そのものとの関係も希薄、淡泊に……。とにかく今回は「さめて」いた。醒める、冷める、どちらの字も当てはまっている。(神)

04/07/21

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