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「南部美人」が来る=女性ではありません岩手県の地酒です

9月17日(金)

 岩手の地酒が世界へ─。海外での日本酒人気が高まる中、本県地酒の出荷が伸びている。海外で生活する日本人に加え、現地の住民にも受け入れられており、県人会などから「岩手の地酒を飲みたい」との要望も高まっているという。県内の酒造会社は新たな市場開拓に力を入れている。
 県酒造組合(組合員二十八社)によると、県内から米国を中心に、香港、台湾、英国などへの出荷が増加。二〇〇二年度九キロリットルだったのが、〇三年度は十八・七キロリットルと倍増した。
 高級地酒の人気も高く、出荷の八割近くを占める米国で需要が伸びており、各社の市場開拓も進んできた。
 同組合の名久井淳課長は「現地の人々にも受け入れられたことによる需要の伸びが、出荷増につながっている」と分析する。
 海外出荷を展開するあさ開(盛岡市)の藤田雅彦経営企画チームマネジャーは「各分野でボーダーレス化が進む中、食文化も同様に広がっている。出荷した量の半分以上を現地の住民が飲んでいる」としている。
 南部美人(二戸市)は今月九日、初めてブラジルに向けて「南部美人本醸造」を五ケース(一ケース=一・八リットル入り六本)を出荷した。ブラジル県人会(千田曠曉会長、事務所サンパウロ市)との交流から船便による定期出荷が決まり、十月ごろには現地で味わうことができそうだ。
 同社の久慈浩介製造部長は「多くの人にメード・イン・ジャパンの味を知ってもらいたい」と期待。千田会長は「故郷の味を楽しめるのはうれしい。県人会として岩手の特産品の紹介にも協力したい」と喜んでいる。