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百周年事業 見直しを=横田パウロ・サンタクルス病院理事長訴え=「日本は箱物に金出さない」=海外日系人大会で実感

11月11日(木)

 「日本政府には〃箱物〃に出す資金はない。新しい戦略を考える必要がある」。海外日系人大会への出席などのために訪日している横田パウロ・サンタクルス病院理事長は四日、百周年記念事業に関して切羽つまった様子のEメールを送ってきた。同大会へ出席し、同病院の増築計画をアピールすると同時に、日本の政府や民間のブラジル関係者に会って、記念事業全体への反応を伺った結果、そのような結論に達したようだ。それに対し、祭典協会関係者からは困惑の声が聞こえている。

 ブラジル日本移民百周年記念祭典協会(上原幸啓理事長)の記念事業案に対して、「〃箱物〃(巨大建築案)には支援できない」とは、従来からサンパウロ総領事、ブラジル大使、小泉首相来伯時の広報官など、外務省が一貫して主張していることだ。
 「いわゆる〃箱物〃には支援はできない。ある建物への技術支援や人材交流の方が、協力しやすい」(同広報官)。今回、それを改めて確認した形だ。〃箱物〃とは、総予算七十億円の日伯総合センターを典型とするビル建築計画だ。
 また、菊地義治祭典協会総務副委員長(援協副会長)が大会で懸命にアピールしたが、「より高位の責任者が不在している感が強く、まことに残念」(同理事長)とし、上原理事長ら執行部が出向いて積極的に支援協力をすべきだったと行間ににじませた。
 「新しい戦略」として、国際協力銀行(JBIC)の扱うODAの予算や、米州開発銀行(IDB)の「ジャパン・プログラム」などの発展途上国向け援助枠に滑り込ませる方向性を挙げた。ただし、「その場合は伯国外務省の許可が必要であり、藤田大使の協力を仰ぎ、百周年として例外的に許可をお願いするにしても、一筋縄ではない」とつづり、〃箱物〃にこだわる限り、財源に関する根本的な見直しなど、戦略を練り直す必要があると主張する。
 メールの中で横田理事長は、今までの同祭典協会の臨時総会で、記念事業を決める際などの強引ともいえる岩水マリオ専務理事の議事進行についても疑問をていし、「本来は理事長がすべき議事進行を専務理事に任せておくことには耐えられない。理事長自らがリーダーシップを見せないのなら、定款に従って改選するべき」とまで言及した。
 この横田理事長のメールは、具志堅ルイス大統領府広報長官はじめ藤田エジムンド伯国外務省アジア太平洋局長、堀坂浩太郎上智大学教授や日系企業家、渡部和夫祭典協会顧問、日系新聞社各社ら、日伯両国の四十余人に送られた。
 日系人大会には菊地副委員長のほか、吉岡黎明プロジェクト委員長(文協副会長)も出席した。
 六日帰国した吉岡委員長は、「僕はパウロ君がどこを回って、誰に会ったのか、どんな返事をもらったかも知らない。彼のことは別にコメントできない」と困惑の表情を見せる。「僕は別に、政治家や外務省の人からお金を出すのは難しいとか、いう話は聞いてない。第一、そういう話をする権限を持って日本へ行った訳ではないですから」と語った。
 百周年に関して、吉岡委員長は海外日系人大会でほとんど言及せず、その場にいた政治家らに簡単な説明をしてパンフレットを配ったのみだった。「菊地さんが大会の最後に話しをしてくれたり、百周年について主にみんなと話していました」と説明した。
 二十日に開催される祭典協会臨時総会に向け、横田発言はまだまだ波紋を広げそうだ。

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