3月4日(金)
第二十六回世界アマ囲碁選手権大会のブラジル代表に、囲碁歴わずか二十カ月のファビオ・ケンジ・ヤマシタ(山下)くん(12、五段、サンパウロ市サウーデ区)が決まった。同大会は、来る五月二十四日~二十七日、愛知県日本棋院中部総本部で開催される。主催が日本棋院、日航、後援は外務省、日本財団。世界六十五カ国(地域)の代表一人ずつが、囲碁アマ世界一の座を争う。日本棋院南米本部では「筋の良さは別格。伸び盛り、六十五カ国代表のうちでも最も若い一人で、日本でも注目されるだろう」と期待している。
平松幸夫・日本棋院南米本部副理事長、村井修・同理事は、二日、「もう嬉しくて」を連発した。ブラジルの囲碁界に若手が育ち、世界選手権に出場できるほど腕を上げたことをいっている。若い後継者を育成することは、南米本部長年の悲願であった。それが、具体化した。世界選手権でも〃いいところ〃まで行くだろう、という密かな期待もある。
世界選手権へのブラジル代表を選ぶ予選は、さきに今伸び盛りの若い六人を中心に行われた。全勝同士の山下くんとアレシャンドレ五段(16、非日系人)が、最後に三番勝負、山下くんが二勝一敗で、代表の座を射止めた。
山下くんをはじめとする若手たちは、ふだん、インターネットで世界の強豪たちと対局し、次元の違う高度な技術を習得していくという。山下くんの場合は、毎日二~三時間パソコンと向き合う。
昨年のいまごろ、全伯囲碁名人戦に出場したときは、初段だった。一年間で五段になった。囲碁をおぼえてから、わずか二十カ月は驚異だ。あまり人を褒めない烏山久夫ブラジル名人も山下くんのことを「筋がいい」と珍しく高評価した。一年前、「ちょっと、もんであげるから」と山下くんを呼んで相手にしていた年配の人たちも、今では寄り付かなくなったという。
ここ二、三年でブラジルの囲碁界も大きく世代が代わるだろうというのが大方の見方だ。南米本部では「囲碁入門講座」を毎週金曜日午後五時~十時、土曜日午後二時~七時、開設中。指導は吉武講師。
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第十六回全伯囲碁名人戦(ニッケイ新聞社主催、南米本部後援)が、つぎの日程で行われる(いずれも午後一時から対局、各段戦の成績優秀者は昇段が認められる)。
三月十三日=初段戦、二十日=二段戦、二十七日=三段戦、四月十日=四段戦、十七日=本戦(五段以上と四段戦の勝ち上がり者による)。山下くんも予選の決勝戦を争ったアレシャンドレくんも本戦に登場する。