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ポ語の刻字=日本で評価=東京で展覧会=ブラジルから4人が入賞

4月15日(金)

 東京都美術館(上野)で三月に開催された第二十四回日本刻字展で、ブラジルから若松如空さんら四人が入賞した。刻字とは、木に書道のような字を彫り、着色したもの。
 この刻字展は三月七日から十二日まで開催され、一般の部で次の三氏が佳作賞に選ばれた。小林月仙さんの作品は「Simpatia」、マリオ・ルッソJRさんは「DEUS」、河原瞳さんは「風」を出品した。
 無鑑査の部では若松さんが「MURALHA」で日本刻字協会賞を受賞した。これは壁の意味で、「イスラエルに最近作られた壁をイメージし、民族の悲劇と苦悩を表現した」と話す。
 次回から若松さんは委託作家として認められるという。四人とも茨城県人会で行われている刻字教室(若松講師)のメンバー。
 「日本の人にも横文字の良さ、西洋文化の良さを見せたい」という思いから、若松さんはポ語の刻字を推進しており、今回はブラジルから四回目の出品。
 日本では桂を使うが、ブラジルでは当初はちょうどよい木材がなくて、セードロ(ヒマラヤ杉)などを使うようになった。小さな作品で二日、大きなものだと十日もかかるという。
 書道教師の小林さんは「書道は平面だが、刻字は立体。平面に書いたものの迫力を失わずに刻字すれば、より力強い作品になる」と強調する。
 空手四段の腕前のルッソさんは、「刻字をやると、頭が真っ白になる。悩みごとなどがある時は、カンカンと木槌で木を削ると気持ちよくなる」という。妻の瞳さんも「瞑想しているような気分になり、とても落ち着く。何もない木に字を彫ると、なんともいえない楽しさがある」と刻字を始めた理由を語った。

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