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楽しく遊んでもらう空間づくり=老ク連ことし30周年=初志実行の決意あらたに=本格的な実態調査実施中

4月20日(水)

 楽しく遊んでもらう空間をつくりたい──。ブラジル日系老人クラブ連合会(重岡康人会長)が今年創立三十周年を迎え、記念式典が八月七日に文協ビルで開かれる。高齢者向け月刊誌『百歳万歳』の社長、植松紀子さんが記念講演を行う予定。高齢化社会の日系コロニアで、同連合会の存在意義は大きい。ブラジル社会でも第三世代向けの娯楽が増え、二世のお年寄りをどうつなぎとめるかが、課題のようだ。会員の希望などを吸い上げるため、実態調査を実施している。重岡会長は「自宅に引きこもりがちな人が、安心して過ごせる場所を提供したい」と決意を新たにしている。
 日本の敗戦で、戦前移民は故郷への帰国を断念せざるを得なくなった。戦後、日系集団地で老人クラブが創立され始めた。日本から指導者が派遣され、活動へのテコ入れが行われた。
 七〇年代にはクラブは全国に百を数えた。それらをまとめる団体として、老ク連が七五年に組織された。
 三十周年の今年、老ク連の会員は三千二百人に膨らんだ。これまで名簿は、各地から提出されるものを元に作成されてきた。
 現在、会員をきちんと登録するために、本格的な実態調査を実施中。既に、アンケート用紙を回収済みだ。会員向け、一般向けの二種類を用意。生活状況、収入源、老ク連への思いなどを尋ねた。
 事務局では「二割~三割が二世ではないだろうか」と見込む。都市と農村との差が激しく、サンパウロ市近郊では九割が一世とみられている。
 都会では娯楽も多く、市役所などで高齢者向けのプログラムも行われている。「非日系人の輪に入っているよりも、日系コロニアの行事に参加しているほうが落ち着く」という二世の声も出ているそうだ。
 重岡会長は「孤独な老人が、なるべく安い費用で過ごせるような空間にしたい」と語り、実態調査の結果を運営に反映させていきたい考えだ。
 記念式典では植松社長の講演のほか、先没者法要、祝賀会、コーラスや踊り、カラオケなど老ク連教養教室の発表などがある。日本の老人クラブに、参加を呼びかけているところだ。中南米老人クラブ連合会総会(八月八日)、サント・アンドレ白寿会との交流(同月九日)も予定されている。
―92歳「日光山唄」熱唱=30周年記念して芸能祭―
 第二十九回全伯老人クラブ芸能祭が十七日午前八時三十分から、サンパウロ市リベルダーデ区の文協大講堂であった。ブラジル日系老人クラブ連合会(重岡康人会長)の主催。今年は、創立三十周年を記念して実施された。千人以上が会場を訪れ、民謡や舞踊などを楽しんだ。
 芸能祭にはサンパウロを始め、インダイアツーバ、ジュンジャイ、カンピーナスなどから約三百四十人が参加した。六十一歳から九十二歳までが舞台で民謡、個人・団体舞踊、ダンスを披露。最高年齢者の一人、高比良たけさん(92)も「日光山唄」を熱唱していた。
 老ク連は今年八月七日、創立三十周年記念式典を開く予定。芸能祭は、記念事業の第一弾になる。重岡会長は「式典には日本からお客さんも、来てくれるはず。八月までに機運を盛り上げていきたい」と話している。

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