ホーム | 日系社会ニュース | イタペチで初の「冬祭り」=今週末から〃花の森〃開く=森の歩道歩き、食事もできる=冬の蘭販売促進もねらい

イタペチで初の「冬祭り」=今週末から〃花の森〃開く=森の歩道歩き、食事もできる=冬の蘭販売促進もねらい

2005年7月22日(金)

 サンパウロ市近郊モジ・ダス・クルーゼス市のイタペチ(Itapeti)地区で二十三日、第一回目の『冬祭り』が始まる。会場は芳賀七郎さん(宮城県出身、コチア青年)が四年前から数千本の苗木を植えて造成してきた十アルケール(約二十四ヘクタール)の「森」だ。イペー、桜、ブーゲンベリア、椰子、柿、ミカンなど数十種類の樹木が順調に育っている。
 化学肥料や農薬などを使わず、樹木を有機堆肥で育てているため、土壌も人体に無害なのが特徴だ。子供たちも安心して遊べ、家族連れのピクニックにも適している。「イタペチに住んで四十七年になる。この間、無病息災で生きて来れたのは住民のおかげだ。冬祭りは、住民に対する謝恩の気持ちも込めて行うので、住民みんなを森に招いて、自然環境を楽しんでいただく予定だ」と言う。
 芳賀さんは、若い時に二宮(金次郎)尊徳翁の本を読んで感動したことがあるようだ。裸一貫から立ち上り、行動の一つとして栃木県芳賀村の復興に貢献した。その村の名前が同じ「芳賀」だったことにも奇縁を感じており、「花の森」として知られる(本紙・五月二十五日報道)森の造成によって、若い時の夢を実現した喜びを感じているようだ。
 「この森も大都会の近郊という利点を活かした村起こしの一環だ。ただ待っていては人々は寄って来ない。自ら進んで行動し、人々が寄ってくるような努力が必要だ。この森も、冬祭りも、イタペチ活性化の起爆剤の一つとなって欲しい」とも言う。
 冬祭りを発案したのは長女の和恵さんだ。去る二月に実施した夏祭りが好評だったため、終了した時点で、次回(冬祭り)を七月に行なおうと心に決めていた(本紙・三月九日報道)ようだ。七月下旬は、サンパウロでの日本祭りと、アルジャでの花祭りの間の閑期にあることと、蘭栽培が盛んなイタペチではシンビジュームとデンドロビームの適期交替期にあるため、都市部に住む人々の関心と来場を喚起することができる、と期待して決めた。
 冬祭りの開催日は、七月二十三日~二十四日、三十日~三十一日、八月六日~七日の三週末だ。開場時間は午前九時~午後四時。入場と駐車は無料。森の中に屋根付き食堂と展示場が建設されており、食事希望者は大人十レアル、七歳以下の子供は半額の五レアルで、ブラジル食と和食ミックス昼食の食べ放題となる。飲み物は別料金だ。森を散策するのは自由。歩道も歩きやすいように整備された。
 展示場では花だけでなく、果物や手芸品などが即売される。イタペチ在住の知人や友人には、できるだけ多くの品を出展して、と芳父娘は呼びかけている。
 芳賀農園(Orquidario Oriental)視察希望者には「森」から無料のマイクロバスが用意される。
 ジャカレイ市にあるコチア農業学校にいる南米諸国の研修生たちが、自分たちの環境教育を兼ねてボランティアとして参加する。「四年前にこの森を始めた時は、移民百周年のことは念頭になかったが、今はそれが強く意識に入ってきている。環境保護は大切であり、百周年もそれを視野に入れて欲しいね」と主張する芳賀さん。『冬祭り』というイタペチでの小さな一歩が二〇〇八年に向かって前進しようとしている。

image_print