ホーム | 日系社会ニュース | 50周年に向けて前進『コチア青年の森』下草刈り=国士舘センター、独特の植林手法=39名が玉の汗を流す  

50周年に向けて前進『コチア青年の森』下草刈り=国士舘センター、独特の植林手法=39名が玉の汗を流す  

2005年8月5日(金)

 二日、サンパウロ市近郊サンロッケ市にある国士舘スポーツセンターに造成された『コチア青年の森』の下草刈り作業が行われた。イビウーナ、ピエダーデ、ジャカレイ、タツイ、カウカイア、ヴァルジェン・グランデ、サンミゲル・アルカンジョ、サント・アマーロ、イタペチニンガ、ソロカバ、サルト・デ・ピラポーラ、ブラガンサ・パウリスタなどから集まった三十九名のコチア青年と関係者が、午前八時から正午まで、急斜面の現場で汗を流した。
 「コチア青年」としてブラジルに移住したのは二千五百八名だ。今年の九月十七日と十八日、国士舘スポーツセンターでコチア青年移住五十周年記念祭を実施する。『コチア青年の森』を記念事業の一つに据えたのは、「森を通して、自分たちの生活を育んでくれたブラジルという国と国民に報恩の意思を示し、併せて、可愛い孫たちに日本人の生活の原点を継承させていきたい」という(本紙・〇四年十月二日報道)思いがあるからだ。
 植物学で高名な橋本悟郎氏やサンパウロ州森林院の山添源二技師らの助言を受けながら、コチア青年の孫たちも参加して、〇四年十一月と今年一月の二回に分けて二十六種類、一千本以上の苗木が植えられた。造成委員が管理し、健全に育っている。今回は、九月の記念祭を前に「苗木たちにも晴れの装いを」と下草刈りとなった。
 造成委員長の黒木慧さん(宮崎県)は「一般の市民のみなさんもこの森を自由に見に来てください」と家族連れでの来訪を呼びかけている。生きた環境教育にもなりそうだ。
 率先して下草刈り作業を行ったコチア青年連絡協議会の高橋一水会長(高知県)は「植林はまだ終わっていない。雨期が始まる十一月以降にも植えて、二千五百八本の目標を達成したい。私たちの植林手法はENRICHMENTという、森の中に木を植えるブラジルで初めて試みとして専門家からも注目されている。最初の三年~四年間は年に二~三回の下草刈りをしなければならない。立派な森を後世に残せるよう頑張りましょう」と、一緒に作業をした仲間たちに今後も参加を呼びかけていた。
 五十年前の一九五五年八月二日、コチア青年の第一陣百九名は神戸移住センター(当時・国立神戸移民収容所)にいた。二日後の八月四日に神戸港を出港し、九月十五日にサントス港に到着した。下草刈り作業に参加した第一陣の黒木慧さん(宮崎県)や山田貢さん(鹿児島県)らには「五十年前のきょう(八月二日)」の神戸の姿が脳裏に浮かんだようだ。
 下草刈り作業参加者(順不同、敬称略)は神取忠(北海道)、門脇孝一(山形)、佐藤信也(宮城)、伊下硯哉(福島)、羽鳥慎一(群馬)、長田朝生(山梨)、大岩修治(新潟)、大崎忠夫(新潟)、北見時夫(新潟)、沖野伊名木(高知)、池谷正二(静岡)、白旗信(長野)、山田充伸(岐阜)、玉腰範義・豊子(愛知)、山下治(福井)、木村磨澄(島根)、杓田正(三重)、菱沼利昭(兵庫)、鶴岡正(高知)、川上徳義(高知)、高橋一水(高知)、川上克木(高知)、瀬尾正弘(徳島)、坂東博之(徳島)、小副川勝利・正子(福岡)、芹川弘(熊本)、米川隆行(熊本)、安武加寿之(熊本)、黒木慧・美佐子(宮崎)、末次文明(宮崎)、青山曙(鹿児島)、徳吉義男(鹿児島)、山田貢(鹿児島)、肥後英樹(鹿児島)、新留静(鹿児島)、伊藤勇三(国士舘スポーツセンター管理人)。

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