ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

 戦後移民の中高年層の画家たちは元気がいい。才能のある人たちが、いまサンパウロ総領事館の後援を得て、合同展「サンパウロ戦後移民具象画展」を開催している▼参加十人のなかには、着伯早々プロのような人、プロになるべく、他分野から転向した人、さらに、衣食足りて、子育てを終え、時間ができて、趣味の域を高めた人などさまざまだ。これまで画家として、知名度が必ずしも高いとはいえなかったが、今回、合同展に名を連ねた人もいて、めでたい▼参加者の一人は以前語っていた。「個展開催はムリでも、まずグループ展に参加し、作品が描きたま(貯)ったら個展開催へ進みたい」。この人は、一つステップを上げたのである▼戦後移住者たちの団体は、一昨年、渡航五十周年を迎えた。「集団」として、ほとんど自己の存在をアピール(世論や大衆・当局者に呼びかけ、訴えること)しなかった。〃中央の団体〃の指導者にならないことを「参加しない」というふうに、表現されているが、実際には、黙々と、「公共」のために、寄与を重ねてきた人も少なくない▼ただ、アピールが下手(へた)だったとはいえるだろう。その意味で、画家たちが、合同展を開いて「オレたちは戦後移民なんだ」と「名」をしっかりと掲げたのは、貴重な行動といえる。言い換えれば、健在を示したのである。まだまだ、老い込むのは早い。こうした元気が百年祭の事業推進の、香り高い文化的エネルギーになればいい、と願う。(神)

05/09/21

image_print