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幽玄な和の世界=薩摩琵琶の音色=和文化協会=サンパウロ市公演

2005年9月22日(木)

 舞と琵琶語りの幽玄な世界――。
 和文化交流普及協会(小川夏葉主宰)はブラジル日本文化協会創立五十周年記念イベントとして、「女楽・月訓之命(つきよみのみこと)への宴」のサンパウロ公演を十一日午後三時から、文協大講堂で行った。
 公演は三部構成となっており、一部は源氏物語や平家物語を題材に、笛、小鼓の独特な音色が観客を千年の昔に誘った。演目「日高川」では、舞と琵琶語りが幽玄な和の世界を演出。会場に凛とした空気が張り詰めた。
 十分間の休憩をはさんだ二部では、島津義秀氏が薩摩琵琶で西南戦争での西郷隆盛の心中を描いた。薩摩武士の士魂を華麗なバチさばきで表現、観客を魅了した。
 初めて琵琶の音色を聞いたという四十代の男性は「すごい迫力」と感心した面持ちで語っていた。
 第三部では、雰囲気が一変。アントニオ猪木さんの実兄、猪木快守さんが舞台に立ち、日本唱歌などを笛と鼓の伴奏で観客と共に歌った。
 続いて、「イヨマンテの夜」をカラオケをバックに独唱、ブラジルの歌も披露、さきほどまでの和の世界とは、うって変わった珍しい舞台演出となった。最後には舞台の演者から、手ぬぐいが会場に投げられた。
 公演後、六十代の男性(二世)は、「日本の伝統芸能は良かったけど、最後は慰問ショーみたいだったね」と苦笑いしていた。
 琵琶奏者の島津義秀氏が帰国したため、十四日のパラグアイ・アスンシオン公演は一、三部で構成された。

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