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コラム 樹海

 NHK大相撲実況中継で楽しいのは、力士たちの取組みのほかに解説がある。親方衆がやったり、評論家、作家がゲストで登場したりする。親方たちの解説は技術的なことが多いのだが、力士の態度などにふれて、十分に面白いのがある▼錣山親方(元・寺尾)の話は、歯切れがよく、分かりやすい。NHKの中継担当が「琴欧州は、花道を土俵に向かって歩いて来るとき、もっと目立つ仕草をしたらいいのではないか」と言ったら、錣山が淡々と「そういうことは、高見盛にまかせておけばいい」と答えたので、思わず噴き出した▼琴欧州が、関取になったとき、甘い顔なので女性が放って置かないだろう、と話題になった。それは、観衆・ファンの前ではストイック(禁欲的で感情に動かされず、苦楽を超越している様子)ぶりが徹底しているせいでもある。錣山はそれを変えないほうがいいと言ったのだ▼直木賞作家の村松友視さんの意見は「外国人力士の存在をプラスにしろ」だ。分厚い壁のようなものだから、日本人力士がそれを突き破る努力をすれば、大相撲隆盛につながっていくと論じる。もう大相撲は変わった、元に戻らないという前提に立っている。外国人の制限、排除は論外というわけである▼変わったといえば、外国人が多数角界入りする前に、学生相撲の強者・勝者たちが、番付のいいところを占めるようになっていた。横綱輪島だったか、「稽古」のことを「練習」といって、関係者を驚かしたのは記憶に新しい。(神)

05/09/23

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