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「東洋人街の形成と変容」=USP森教授らが調査へ=百周年に学術面から貢献=出版や展示なども計画

2005年10月20日(木)

 リベルダーデ区がどのように形成され変容していったのか―。ブラジル日本人移民百周年を目前に控えた現在、森幸一サンパウロ大学教授を中心に、同学生らが「リベルダーデの形成と変容」について調査をはじめた。二〇〇八年に向けリベルダーデの記録として学問的な面から貢献したい考えだ。まだ準備段階だが、最終的な計画として仕上がり次第、他の研究者らにも協力をお願いする予定だという。
 二十年前から同様の調査を考えていたという森さん。非日系人がどのように寿司を食べるようになったのか、どのように日本食レストランが変容していったかなどを調査した「リベルダーデの日本食の需要と変容」と題した論文を当時、書き上げていた。
 現在は、地理学、歴史学などを専攻する学生約十二人が集まっている。「建物の外様がどのように東洋風なのか」「リベルダーデでのイベントはどのようなもので、誰によって生成されてきたのか」「日本語学校の歴史」など、学生の興味・関心はさまざま。また、「中国や韓国移民など他のエスニックグループがどのように日本のイメージを利用して形成されてきたか」などについても調査を進めていく。
 このように多角的な興味・関心から研究していくため、第一段階として「どこに日本食レストランがあるか」などを示した現在のリベルダーデの地図を作成する考え。次に同区の詳しい年表を作成し、個人あるいは何人かのグループに分かれて調査する。
 「これは大きな側面から見ればサンパウロ市がどのように形成されたかなど近代史の一部分にも関わってくる。つまりサンパウロ市とエスニックグループがどのように関係してきたかだ」と話す森さん。「移民研究でもありブラジル研究でもある」と言い切る。
 また、「二〇〇八年にはこれらの調査・研究を日本語、ポルトガル語で一冊の本にまとめたい」と話し、「集まった写真や資料を美術館などで展示をしていきたい」と抱負を語った。
 現在は毎週火曜日午後三時から日本ブラジル文化協会百周年実行委員会会議室(場所は随時変更する)で会議を行い、計画を固めていく方針だ。

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