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コラム 樹海

 自民党が立党50年を迎え記念式典を開いた。自由党と日本民主党が手を握り自由民主党を結成したのは1955年であり、憲法改正を綱領に掲げ戦後政治を率いる政党に発展する。この式典では「改革の党」を宣言し、新憲法草案を発表し改憲に取り組む姿勢を示すなど「新しい自民党」を訴えている。確かに自民党の政治は変わってきたし、いわゆる「55年体制」は崩れつつある▼これまでの自民党は派閥が人事や政策を決めてきた。田中角栄氏の「数は力なり」が象徴するように総理総裁もが、派閥によって仕切られる。道路・郵政・厚生などの族議員が政策に影響力を持ち予算獲得にも力を発揮する。ところが、小泉首相はこうした旧来からの政治力学を打ち破る。組閣や党内人事にあたっても、派閥の声には耳を貸さない。首相は「自民をぶっ壊す」とも公言する▼これは派閥を潰すの意味だし、この言葉通りに旧橋本派も旧亀井派にも往年の勢いはない。予算も財務省(旧大蔵省)が組んでいたものを経済財政諮問会議が基本計画をつくる政治主導に変化している。ここでも族議員の出番は急激に減り政治の進め方が従来とは異なる。郵政法案の参院否決で首相は解散に踏み切り勝利を勝ち取ったが、これも政界の常識を破る決断である▼首相は次の政策に政府系金融機関の統合と補助金削減などを掲げているが、どれも抵抗が激しく難航している。改憲にしても、連立の公明とはかなりの違いがあるし、野党との論議も待っている。新しい自民党への試練は多く余程の覚悟がないと展望は開けまい。   (遯)

 05/11/29

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