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詐欺未遂=領事館職員を名乗り=サンパウロ市=「あなたの息子が事故死」

2006年1月7日(土)

 昨年末にサンパウロ総領事館管内で、日本国総領事館職員をかたる詐欺未遂事件が発生していたことが、このほど分かった。日系の家族をねらって「日本で暮らす家族が交通事故で死亡した」との内容で遺体の搬送費用をだましとろうとしたもの。被害者がサンパウロ総領事館に確認して事件は未遂に終わった。同総領事館では、事実確認の徹底など注意を呼びかけている。
 サンパウロ総領事館が発行する「安全対策情報」によれば、事件が発生したのは十二月二十三日午前十時半ごろ。同館管内の被害者(80歳代の日系男性)宅に二十歳代と見られる女性から電話が入った。
 女性は流暢なポルトガル語で、被害者の息子(50歳代)の連絡先を尋ねた。女性が身元を明かさないため被害者が断ると、女性は日本国総領事館職員を名乗った。また日本で暮らす孫の名前も知っていたことから、被害者は息子の連絡先を教えた。
 後日、女性がこの息子に電話。「日本の息子(被害者の孫)が交通事故で死亡した。遺体の搬送費用として八千五百レアルが必要。今から総領事館の運転手が現金を取りにいく」との内容だった。
 不審に思った息子は総領事館に連絡。日本の家族とも連絡が取れたため、事件は未遂に終わったという。
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 ナタル直前に起きた今回の詐欺未遂事件。「交通事故で死亡した家族の遺体搬送費用」という手口は、十一月に滋賀県で在日ブラジル人七人が死亡した交通事故を連想させる。
 サンパウロ総領事館の担当領事によれば、総領事館館員を名乗って金をだましとろうとする詐欺事件は一昨年ごろまで多発していたが、昨年はほとんど聞かれなかったという。
 主なケースは「日本で暮らす家族が事故を起こした」または「喧嘩で捕まり保釈金が必要」などの理由を挙げて金を要求するもの。
 「日本のように銀行に振り込むのではなく、ブラジルでは手渡しで現金を受け取るパターンが多いようです」と同領事は説明する。日本の家族の名前を知っているため、本当の事と信じて被害に遭うケースもあったという。
 安全情報は、犯人があらかじめ名簿などで家族構成を調べていた可能性があると指摘。総領事館がこうした連絡をすることはなく、日本への送金手続き業務も行なっていないとして、注意を呼びかける。
 さらに防犯対策として、(1)相手に家族の住所を聞くなどして、話の正確度で確認する(2)電話を切った後、必ず本人やその家族等と連絡を取り、事実を確認する(3)事実が確認できないときは現金を渡したり、振り込んだりしない(4)すぐに現金の受け渡しや振込みを以来するものには注意する(5)日本に在住する家族や親族にこうした事件が起きていることを伝え、不審な電話などがあった場合はすぐに相互連絡をおこなう――といった点を挙げている。

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