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メモーリアス・デ・ウマ・ゲイシャ=賛否両論の「日本物」

2006年2月2日(木)

 また一つ、ハリウッドから「日本物」が届いた。サムライの次は、ゲイシャである。貧しい漁村から置屋に売られた少女が花街一の芸者になるまでを描いた映画「メモーリアス・デ・ウマ・ゲイシャ」が三日から全国で公開される。
 監督は〇三年アカデミー賞作品賞を受賞した「シカゴ」のロブ・マーシャル。当初自らメガホンを取る予定だったスティーヴン・スピルバーグの製作。
 主役のさゆりら主要女性キャストは中国人女優がほぼ独占し、昭和初期の京都・祇園をモデルにした花街が舞台にも関わらずセリフは全編英語。一足先に公開された日本では賛否両論があった話題作だ。
 ブラジルメディアも、「スケールの大きさ」をたたえる一方、総じてやや辛口な批評が目立つ。
 原作は世界三十カ国以上で翻訳されたアーサー・ゴールデンの小説『メモワーズ・オブ・ア・ゲイシャ』(日本では『さゆり』文春文庫)。
 日本の俳優はすでに国際的に知名度の高い工藤夕貴、渡辺謙、そしてハリウッド映画初出演の役所広司と桃井かおりら芸達者たちがそろった。
 がやはり残念なのは、主役に日本人が選ばれなかったこと。日本メディアにその理由を問われた監督は「ぴったりな人にめぐり合わなかった」ときっぱり。
 また作品については、「これはおとぎ話。日本の二〇年代から四〇年代に対して、僕が持っているイメージの投影だ」「芸者とはどういうものなのかを描き、その世界をリッチにエキサイティングに、そしてドラマチックに語ってみた」などと語っている。
 ところどころ目にする時代考証を無視したファンタジックな演出も、その良し悪しは別として、この言葉を聞けばうなずける。
 一月三十一日にサンパウロ市内で行なわれた報道陣向け試写会。映画の広報に協力している国際交流基金サンパウロ事務所の吉井弘所長は、「いろいろ違和感もあると思うが、美しい日本の四季をビビッドに撮っている点は評価できるのでは」と話していた。

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