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ブラジル産業に貢献して半世紀=南青協=9月に創立50周年式典=「明日を見すえる大会に」

ニッケイ新聞 2006年7月20日付け

 南米産業開発青年隊が今年、最初の着伯から五十年を迎える。総勢三百二十余名、いまもブラジル社会の各分野で活躍する青年隊。半世紀の節目を祝い、在伯隊員で組織する南米産業開発青年隊協会(南青協、牧晃一郎会長)は九月三日、文協ビルで創立五十周年記念大会を開催する。日本からも、OBで作る「朝霧会」から慶祝団が来伯。当日はユバ・バレエによる記念公演が行われるほか、前日には宮城県人会で前夜祭も予定されている。牧会長は、「単なる懇親会でなく、百周年を前に自分達がブラジル日系社会に何ができるのか、改めて問い直す機会にしたい」と語り、来場を呼びかけている。
 一九五六年六月九日、オランダ船ルイス号による第一次隊員十七人の着伯で始まった南米産業開発青年隊。戦後の五一年、農村部の二、三男たちに建設や機械等に関する技術を教え、国の復興に活用することを目的として設立された。
 南米への移住は、当時建設省技官だった長沢亮太氏と、訪日した旧コチア産業組合の下元健吉専務理事との出会いから始まった。
 県連会長もつとめた和田周一郎氏がパラナ州ウムアラマに百アルケールの土地を無償提供、訓練所が設立された。六七年までに海を渡った隊員は三百二十六人に上る。
 帰国、死亡した隊員をのぞき、現在同協会に登録している隊員は二百二十人。農業分野にとどまらず建設、土木、測量、通信などブラジル社会の各分野で活躍している。
 記念大会当日には、南マット・グロッソや南リオ・グランデ、サンタ・カタリーナ、ゴイアス、バイーア、ミナス、リオデジャネイロ、パラナ、ブラジリアなど国内各地から関係者が参加するほか、日本からも、青年隊OBで作る「朝霧会」から升ノ内三郎会長を団長とした慶祝団三十人が来伯。ポルトガルからも式典に参加する。
 式典参加者はサンパウロに到着後、下元氏や和田氏、コチア産組元会長の井上ゼルバジオ氏と、長年青年隊を支援した久万浩氏の墓参りを行う予定。
 記念式典は三日午前十時から、文協ビル小講堂(サンジョアキン街381)で開催。正午から階下のサロンで記念昼食会、午後三時から大講堂でユバ・バレエの公演が行われる。
 ユバ・バレエ公演は、南青協二十周年祭から五年ごとの節目に行われているもの。今年も弓場農場から四十人が駆け付ける。牧会長は「近々招待券を配布致しますので、当日はぜひコロニアの多くの方々に観に来ていただきたい」と来場を呼びかける。
 大会前日、二日の午後六時からは宮城県人会サロン(ファグンデス街152)で前夜祭が開かれる。約三百人が参加する予定だ。
 牧会長ほか、早川量通副会長、長田誉才会計理事が案内のため来社。「自分たちが今日あるのも、笠戸丸にはじまる先駆者の方々の苦労のおかげ」と語る牧会長。「単なる懇親会にせず、会員一人一人が明日を見すえ、日系社会にブラジル社会で何が出来るか改めて問い直したい。私たちの後姿に子弟たちが良い意味で日本人のスピリットを感じ、継承していける意義ある大会にしたい」と大会への思いを語った。

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