ニッケイ新聞 2006年7月22日付け
第二十一回汎米日本語教師合同研修会が十八日から二十六日までの九日間、ブラジル日本語センター(谷広海理事長)で行われている。カナダ、アルゼンチン、ドミニカ共和国、パラグアイ、ペルー、ベネズエラ、ボリビアの七カ国から十四人、ブラジル国内から十六人の教師が集まった。「各地での日本語教育の情報を交換し、技術、知識、意識」を高め、指導力向上を図る。センターが主催。JICA後援。
今回の研修会にベネズエラからの教師が初めて参加。阿佐由美子さんは「今ベネズエラでは日本ブームです。日本語教師が少ないから、これをきっかけにベネズエラで研修講座などを開講、学習者獲得につなげたい」と抱負を語った。
パラグアイから来た山本香苗さんは、「いろいろ学べるし、やる気いっぱいですよ」と意気込みを語り、研修員の中で唯一男性の増岡照樹さん(ドミニカ共和国)は、「ドミニカではシニアや青年ボランティアの先生が働いています」と現状を紹介した。
カナダからの参加者、酒寄幸子さんと高木有美さんは、「今でも移住者が多く来るカナダでは日本語教師はほとんどが一世。研修会で二世、三世の頑張りを知ることで影響を受けます」と、南米諸国と異なる事情を説明。ただ、カナダでは、公用語が英語とフランス語の二言語であるため、「子供に日本語でなくフランス語を習わせる」傾向がある。日本語学習者の拡大を図りたい点は同じようだ。
十八日に行われた開講式には、在サンパウロ総領事館総領事代理の杉本麗名さん、JICAサンパウロ支所次長の野末雅彦さんらが出席。各機関の日本語関連事業の紹介を行い、研修員に激励を送った。
講師を代表して挨拶を行った松酒早苗さんは、「日本語を教えるテクニックと同時に、周りの出来事に関心を持ってほしい。デカセギ子弟教育問題にしても役立てることができるだろう。この機会に教師間のネットワークを作ってください」と話した。
以前は日本からの講師を迎えていたが、三年前から現地講師を中心にするようになり、今年は現地講師のみで行っている。
同日に行われた、総領事公邸での歓迎夕食会では、総領事自らが司会、紹介、アテンド、あいさつを行った。総領事夫妻によるピアノとバイオリンの演奏会も行われ、一同、楽しいひと時を過ごした。