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◇コラム 樹海

 伊藤博文が明治18年(1885)に初代の首相に就任したときが44歳であった。これに比べれば自民党総裁に選ばれた51歳の安倍晋三氏は決して若くはない。英国のブレア氏も44歳で首相だし、欧米では若い政治家が活躍する。ところが、年功序列を重んじるせいか、日本では老人パワ―が強く、戦後でも首相になるのは60代が最も多い▼今太閤―と持て囃された田中角栄氏でも、総理大臣になったのは54歳であり、初当選から25年目の栄冠である。こうした歴史を見れば、安倍氏は確かに若く議員歴も浅い。だが、政界の若返りは最近の傾向であって、もう老年支配は過ぎたと見たい。あの中曽根氏や宮沢氏も代議士を引退しご意見番になっているし、このような動きはこれからも加速されるに違いない▼あの安保改定に政治生命を賭けた岸信介氏を祖父に首相の座を目前にしながら病に倒れた父・晋太郎外相と数えて3代目の安倍氏は、保守派であり「タカ派」とされる。60年の安保改定では反対派の国会デモが続き東大の樺美智子さんが死亡するという事件もあったけれども、岸総理は公邸で「死をも覚悟した」とされ憲法改正が最大の夢であった▼安倍氏は、総裁選でも「改憲」を掲げ、教育基本法の改正を最重要と位置付けたのを評価したい。これは戦後政治の見直しであり、21世紀の日本がいかに生きるかを問う課題でもある。一部の有力紙は、この安倍氏の考え方を危惧しているけれども、こうした意見や平和論は戦後のマスコミに特有なものだし、国民によく説明しながら協力と支持をえて政治の本道を歩んで欲しい。(遯)

2006/09/23

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