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海外日系人大会が開幕=「日系の新たな発展」テーマに=常陸宮殿下もご臨席

2006年9月27日付け

 【東京発】二十六日午後、衆参両院の首相指名投票で第九十代首相に選ばれ、自民、公明両党による連立内閣を発足させた安倍晋三新内閣総理大臣。その最初の公文書は、同日午後二時から国会議事堂のすぐ脇にある憲政記念館で行われた第四十七回海外日系人大会への祝辞だった。今年の大会には十八カ国から約百七十人の日系人代表が集まり、常陸宮殿下ご出席のもと、日系人としての絆を確かめ合った。
 今大会の総合テーマは「日系社会の新たな発展を目指して―歴史を振り返り、明日への活力に―」。
 最初に亡くなった先駆者へ黙祷を捧げ、海外日系人協会の塚田千裕理事長が「各国で日本文化継承者の問題がクローズアップされている。日本が、従来にもまして海外日系人と手を結んでいかねば」と力強くあいさつした。
 今回、十一回目の大会ご出席となる常陸宮殿下は「近年、中南米諸国から多数の日系人が仕事を求めて、我が国に滞在するようになり、かつて我が国の移住者がこれらの国で受け入れられてきた歴史に思いを馳せ、我が国もこれらの国の日系人の方を温かく迎かえられることを切に望みます」と述べられた。
 安倍内閣総理大臣のメッセージを同協会の長崎弘副会長が代読。「日系社会が築いた、現地社会での高い評価は、我が国にとって大変名誉なこと」と賞賛し、〇八年のブラジル移民の百周年にも触れた。さらに来年の日系人大会がブラジルで開催されることに関して、「その成果を大いに期待している」と締めくくった。
 次に、先日ブラジルなどを公式訪問したばかりの扇千景参院議長のあいさつが代読された。「日系人が、それぞれの国と日本との関係の礎(いしずえ)になっていると実感した」と高く評価した。
 これに対し、海外総代としてドミニカ日系人協会の嶽釜徹会長は「それぞれの地において、先駆者が保ち続けてきた日本人としての誇りを持って、その国に貢献しながら、日本とのかけ橋になることを後世子孫に伝えていきたい」とのべ、「我々のことをお忘れなく」と付け加えた。
 常陸宮殿下の前に置かれたかごに、十三カ国の日系人代表が感謝のメッセージと共に二本ずつ花を挿した。ブラジルからはブルーツリーホテルの広瀬スミコさんが花を捧げた。最後にこの花かごを殿下にプレゼントし、式典は幕を閉じた。
 続いて行われた全体会議では、日伯二十一世紀協議会の日本側座長を務めた河村建夫衆議(元文部科学大臣)、藤村修衆議が議長を務めた。河村衆議は「さきほどのあいさつが、安倍総理の公文書第一号ではないか。午後から衆参両院で首相指名投票だった。ぎりぎりのタイミング。意味のあること」と会場を沸かせた。
 新内閣でも続投となった麻生外相に関しても「日伯議員連盟の会長であり、これに関しては与野党関係なく国会の立場からご支援していきたい」と語った。
 外務省からも谷崎泰明良治局長、国際協力機構の松本有幸理事も挨拶した。その後は塚田理事長が事業報告し、海外日系文芸祭賞発表、海外日系新聞放送協会賞授与式が行われた。ニッケイ新聞が日本で出版した『海を渡ったサムライたち』(幻冬舎ルネッサンス)も特別賞を受賞した。
 最後にアトラクション。「落語大使」として日伯修好百周年でブラジル公演もした春風亭栄枝(しゅんぷうていえいし)さんが落語で会場を笑いの渦に。そして、八年連続の南米公演をした井上祐見さんが熱唱を披露。笠戸丸移民をイメージした「ソウ・ジャポネーザ」では、特に気合の入った歌いっぷりを見せ、世界中から集まった日系人から惜しみない拍手が送られた。
 翌二十七日は代表者会議で「日本語教育」「若い世代を日系社会に」「国際日系ネットの樹立へ」などのテーマを話し合う予定。

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