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USPの植樹記念碑を再建=ブラジル・ニッポン移住者協会=総領事ら迎え完成除幕式=「USPを花見の名所に」

2006年11月2日付け

 ブラジル・ニッポン移住者協会(小山昭朗会長)は、戦後移住五十周年のメイン事業として行った植樹キャンペーンの記念碑を再建した。設置されたサンパウロ大学体育学部(CEPEUSP)内で、二十七日、完成除幕式が開かれ、植樹された桜の手入れを行ってきた関係者や来賓など約三十人が訪れた。「百周年につながるような五十周年に――」。記念碑が完成し、そんな思いを込めて植樹された木の手入れにも一層力が入るようだ。
 二〇〇三年の戦後移住五十周年を記念した植樹キャンペーンでは、戦後移住者団体が中心となって同年六月から半年以上かけて、サンパウロ市内六カ所に三千二百本、他にも二千本の植樹を行った。「日本とブラジル」を象徴して、桜を八割、二割はイッペーの木を植えた。植樹の記念碑は、通称「夕陽が丘」と呼ばれる、同大学内の高台に設けられた。
 ところが、今年の三月ごろ、木の手入れを行っていた移住者協会の有志が記念碑のいたずらを発見。裏側にあった貢献者一覧のアルミ板がはがされ、表側の日の丸の赤色にも傷がつけられていた。
 「なんとかしなければ、と話し合いまして」と、小山会長。入校するのに身分証の提示が求められるCEPEUSPの管轄地内に記念碑を移動。はがされた板を新たに作り直した。
 当日は式典の二時間前から、有志らが大学校内に植えられた桜の手入れを行った。植樹以来、月に一度ずつだったが、これからは夏に向け、月に二度手入れを行っていくという。
 晴天に恵まれた除幕式には、西林万寿夫在サンパウロ総領事、アジウソン・カルバーリョ・サンパウロ大学都市長、上原幸啓文協会長、加藤恵久県連副会長、酒井清一援協会長らが出席。
 カルバーリョ都市長は「これらの木は二国のシンボル」と話し、西林総領事も「学生の一割を日系が占めるUSPに記念碑があることは好ましい。日伯交流のシンボルとなるだろう」と祝辞を述べた。除幕式では記念に、五本の桜が新たに植えられた。
 USPが率先して桜に堆肥をやり、「農業エキスパート」の移住者協会有志らが枝の手入れをしていく。小山会長は「訪日した際には「日本桜の会」を訪ね、肥料のやり方、手入れの方法を教わっています」という。このほど「成長には土壌が大事だから」と校内四カ所で土壌検査が実施された。
 「いつか木に花がついたら、USPは一面の桜で、サンパウロ一の花見の名所になりますよ」と小山会長は笑顔を見せていた。

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