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「日本料理」の〃危機〃に対処=海外レストラン推奨計画進める=イメージ、ブランドが重要=民間主体で政府支える

2007年4月11日付け

 【既報関連】日本の農林水産省は、海外にある日本食レストランが、日本食についての情報提供や特徴的な食材の提供が不十分なままに急増し、日本料理のイメージや日本食というブランドが損なわれることを危惧し、『日本食レストラン推奨計画』を進めようとしている。昨年十一月に、同省内に有識者会議が設置され、今年三月に提言が出された。実施されると、日本の国内組織と海外各国または都市に現地組織が設置され、推奨対象となったレストランに推奨マークが交付される。同提言は、二〇〇七年度中にも計画が試行的に開始されることを期待するとしている。
 同提言は、計画の前提となる現状認識について、「日本食は、健康的、美しい、安全・安心、高級・高品質として高い評価を得ている。急増する日本食レストランは、海外で日本食や日本の文化を身近に体験できる機会を提供している」としながらも、「日本食というイメージないしブランドのみを使用して日本食レストランと称している店も出てきている」。
 同省によれば、「いわゆる日本食レストラン」は、世界に二万から二万五千店。北米に約一万店、アジアに約六千から九千店。続いて、欧州に約二千店、中南米に約千五百店となっており、過去十年間に急増したという。
 有識者会議は昨年十一月に初回が行われ、当時は、レストランの〃認証〃制度を検討していたが、その後、六十三の団体、海外機関や関係者へのヒアリング、同会議あてに寄せられた約三百通の意見メールを参考に議論を重ね、最終的に同提言が勧める〃推奨〃計画に至った。
 政府主導でなく民間主体で、公的機関はこれに対し情報提供を通じてサポートする。また、対象は「この計画への自主的な参加を希望する商業的なレストラン(提言の一部)」とし、希望店に対してのみ、推奨が行われる制度だ。
 そして、将来的には、「海外各地の関係者の自主的努力によって、経費面も含め、このような推奨計画が運営されるようにすべき(提言の一部)」という。
 推奨の基準となるのは、(一)米、調味料、日本酒などの主要な食材や飲料、(二)経営者や調理人の日本食に関する調理技術や衛生管理などについての知識、(三)店の雰囲気や接客サービス、(四)調理、味付け、盛り付け、(五)日本食の調理法や、食材、食文化について顧客への情報発信、の五点で、日本食が多様なので、食材入手の難易、現地の食文化との融合を考慮し、対象レストランを「伝統的」「フュージョン」(編集部注・融合的)などに区分して推奨する場合も考えている。
 在サンパウロ総領事館の田畑篤史経済担当副領事は「日本食を出しているレストランが全て対象になるのではなくて、自主的に参加するところに対して、推奨を与えるということです」。推奨計画の試行的な実施に向けて、すでに、ブラジルの事情についての意見聴取のための人選が進んでいるという。

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