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コーヒー博物館が日本移民を顕彰=サントス=水野龍氏の子・孫も訪れ=特別展「コーヒーと日本移民」=移民百周年を記念して

2007年6月7日付け

 サントスにあるコーヒー博物館はこの度、日本移民百周年記念事業の一環として『コーヒーとブラジルへの日本移民』の特別展を始めた。一日に同所で展示のお披露目式が行われ同館の関連社や人々約四百人が来場、その内の大半は非日系人だった。式では館長の挨拶、両国の国歌斉唱、来賓紹介、日本移民とコーヒーの歴史について、サントス市長の挨拶、鏡割りなどが行われた。一九九八年に博物館として開所して以来、同館が日本移民の歴史展示を行うのは初めてのこと。個人所蔵や州立移民記念館、ブラジル日本移民史料館などが所蔵する資料が展示されている。
 当日はあまりに多くの人が来場したため、式は予定の午後六時から大幅に遅れて午後七時に開始。
 ギリェルメ・ブラガ・アブレウ・ピレス・フィーリョ館長、ジョアン・パウロ・タバレス・パパ・サントス市長、武田幸子在聖総領事館副総領事ほか、全日本コーヒー協会、UCC上島コーヒーなど多くの関連企業・団体が参加していた。
 館長は冒頭、「今回の展示はサントス市にとっても重要なことだが、日本とブラジルにとってとても重要なことだ。これからの架け橋になることが望ましい」と挨拶。盛大に式は始まった。
 続いて武田副総領事は「日本移民がサントスやサンパウロにおけるコーヒー農業やブラジル経済に貢献できていることが、一見して分ることができる」と展示内容を称えた。
 来賓者たちは用意されていた赤い半被に着替え、一斉に鏡割り。その後、各自が一合升を持ち博物館の成功を祈って乾杯、展示のテープカットが行われ、展示が始まった。
 会場を訪れたタバレス・サントス市長は「日本移民のおかげで教育の重要性、家族のあり方など重要なことをたくさん学ぶことができた。日本人は勤勉で真面目、ブラジル経済に多大な貢献をしている」と日本人移民に感謝の意を表しながら話していた。
 展示物には初期の日本移民が身に付けていた着物や下駄、〃日本移民の父〃水野龍の航海日誌、トランク代わりの茶箱、契約書のコピー、笠戸丸がサントスに着いた時の写真など当時を知ることができる貴重なものばかりだ。また、NHKで放送された『ハルとナツ』や、日本各地の祭りの様子を紹介するビデオ上映も行われている。
 この日は水野龍の息子の水野真一(98歳)と水野龍三郎(76歳)が同展に訪れていて、自分たちの父親の写真が飾られた展示スペースを見学し、興味深そうに魅入っていた。
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 コーヒー博物館はサンパウロ州がお金をかけてコーヒー取引所を一九九八年に改装し、運営はコーヒー博物館友の会が行なっている。同館の展示はサンパウロ大学のマリア・クリスティーナ・デ・オリベイラ・ブルーノ教授が担当している。
 特別展は今年の十二月二日まで開催される予定。火曜から土曜日(九時から十七時)、日曜日(十時から十七時)まで開館していて、入場料は四レアル。月曜休館。
 現在、日本は輸入コーヒー消費国世界第三位になっている。ちなみに第一位はアメリカで、次いでドイツ。

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