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拓魂=県連・ふるさと巡り=汎ソロの移民史名所を訪ねて=連載《6》=ソロカバ=名物「餃子汁」に舌鼓=恵まれた施設と人材誇る

2007年6月9日付け

 五月十八日午後八時、ふるさと巡り一行のバスは、ソロカバ日伯文化体育連盟(UCENS)の会館に到着した。同地は聖市から南西に九十六キロで、パラナ州との交通の要衝だ。
 木下忠男会長(53、三世)自らバスのところまで出迎えてくれ、全員と握手を交わす。同地では三世としては初めて会長に就任したばかりという。
 東本願寺の道元敏夫導師により、すぐに開拓物故者への仏式法要が始まり、全員が焼香した。
 木下会長は挨拶の中で文協の説明をし、「若い人から老人まで毎週踊りをやってます」と活動を報告した。文協創立は一九六二年、町中にあるこの会館は六七年に落成。町の人口は六十万人、日系人口全体は約二千家族と推計されるが、会員は四百家族という。
 『聖南西文化体育連合会の半世紀』(〇〇年、同連合会刊)には、三三年には同地在住の日本人はわずか十一家族程度だったのが、戦争中にサントスージュキア沿線から枢軸側国民が強制退去させられた際、パラナ方面に向かう一部がとどまり、一気に人数が増えたとある。
 この会館以外に、二カ所もの運動施設がある。その一つは一アルケールの土地に体育館、野球場、ゲートボール場などを完備。もう一つには五アルケールの土地にプールとテニスコートがあるという。
 主な行事は一月の新年会、子供の日には幼少年の運動会、六月は通常の運動会、八月に盆踊り、九月は演芸会や敬老会など活発に活動をしている。同地の老人会、ソロカバ鳳寿会には約七十人が参加しており、現在の初の女性会長の坂田真理子さんが務めている。
 掃部関(かもんぜき)弘さん(85)さんの音頭で乾杯をし、婦人部手作りの料理に一行は舌鼓をうった。中でもソロカバ名物「餃子汁」は好評で、次々にお代わりを申し出る人がいた。
 遠路マット・グロッソ州カンポ・グランデから参加している名嘉正良さん(69、沖縄県)は、自身の妻と同じボリビア・コロニア沖縄の第一回移民の比嘉和江さん(68)に偶然出会い、旧交を温めていた。「ソロカバに来ていただいて本当に嬉しい」と比嘉さんはニッコリ。
 同市内のど真ん中で無農薬の葉野菜などを生産している原崎三郎さん(71、鹿児島県)は、「古い友だちに会えて感激しました」と喜んでいた。
 同文協が運営するソロカバ日本語学校の青野静香校長(58、佐賀県)は「この五年ぐらいでマンガやアニメに惹かれて勉強に来る非日系人が増えた。実に熱心で日系の子が負けそうです」と笑う。生徒は四十六人で大人と子供が半々。
 六月に帰国するJICAシニアボランティアの加藤真理さん(57、千葉県)も「生徒を取り巻く環境は今がちょうど過渡期」だと痛感する。日本語中心の帰伯子弟向けに、日本語学校でポ語を教えている。「このような子弟はさらに増えていく」との感触だ。かと思えば、帰伯して二カ月ですっかり日本語を忘れてしまった子もいたとか。「日本語能力を補修する機能も求められている」。
 二年間の任期の最後に、「聖南西は意識の高い先生が多い。その気持ちを持続して正しい日本語を教えてほしい」と語った。「語学だけでなく、人格面でも影響を与えられる先生に」。
 同地にはJICA青年ボランティアの近藤俊介さん(23、岡山県)も昨年七月から野球指導に赴任している。〇一年に玉野光南高校で甲子園に出場し、二回戦まで勝ち残ったという。
 ふるさと巡り二十七回中、二十四回も参加するという最多記録を持つ和田一男さん(82、二世)=ソロカバ在住=は、前回汎ソロ巡りをした九一年時の写真アルバムを持参し、行く先々で地元の人に見せていた。その姿から、この旅行自体の歴史が感じられた。
 午後十時半、恒例の「ふるさと」を全員で合唱し、一行はホテルに向かった。
(深沢正雪記者、つづく)

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