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拓魂=県連・ふるさと巡り=汎ソロの移民史名所を訪ねて=連載《最終回》=ピラール・ド・スル=トマトやバタタで一世風靡=現在は果実で後継者は続々

2007年6月16日付け

 五月十九日正午前、ピラール・ド・スル文化体育協会に到着。五十人ぐらいの地元の日系人に出迎えられた一行は、一分間の黙祷のあと、城島将男会長から歓迎の挨拶を受けた。
 返礼に立った長友契蔵団長(宮崎県人会長)は、感極まった様子で「ここは私の第二の故郷です。懐かしい場所です」と語った。一九六〇年に渡伯した長友団長は、六二年から十一年間、サンパウロ産業組合中央会の農業技師としてピエダーデに駐在し、ピラールなどにもよく指導に訪れたという。
 同地の老壮会の安藤禎重会長(74、福島県)が乾杯の音頭をとり、婦人部が用意してくれた昼食になった。同老壮会は会員が九十人もおり、最高齢は百歳で、八十歳以上だけで四十人いる。つい先日も二十四人でキロンボ温泉に行って来たばかり。「楽しかったな。あっという間に戻って来ちゃった感じだった」と安藤会長は振り返る。
 「この町の銀行の動きの七割は日系ですよ」と胸を張る。南伯組合には八十六組合員がいるが、そのうち三十八人は大学卒の専門教育を受けた人で、やはり七割は日系人という。「農事部の指導が重要」と強調し、浦田昌寛JICAシニアボランティアの指導の効果のほどをのべた。
 『聖南西文化体育連合会の半世紀』によれば、同地初入植は一九四五年の長浜栄蔵ら三人だった。続く十年間にはトマト三十万本を栽培し、四八年には記録的な高値を記録して恩恵を受けた。さらにコチア産組三十年記念では片山家は州知事賞、木村忠夫氏は大統領賞を授与され、〃バタタの地〃として名を不動のものとした。現在の主な生産物は柿、イタリア葡萄、桃、ビワなど。
 「ここでは後継者がどの家にもいる。都会に出て大学で勉強しても、みんな戻ってくる」と安藤会長は胸を張る。その秘訣は「日本語教育に力を入れているからだ」という。柵で囲まれた立派な建物の日本語学校を案内してもらう。
 現在の生徒数は約五十八人だが、城島会長によれば「最盛期には百六十人も生徒がいた」という。先生が六人でおり、うち日本の大学を卒業したのが四人もいる、と安藤さんは誇らしげに語った。
 同文協の創立は五十三年で、会員は約百七十六家族。野球をはじめ卓球、バレーボール、ゲートボールなどのスポーツも盛ん。七五年に会館が落成し、七八年に日本語学校校舎、八四年に食堂と会議室を増築した。
 十年ちょっと前に建設された体育館を見学すると夜間照明があり、床はゴム貼りで、室内サッカー、ソフトバレーなどで使われており、二階は卓球場。すぐ横には野球場、裏にはゲートボール場も完備している。
 ふるさと巡りの参加者、小島テルカさん(84、二世)=サンパウロ市在住=は「子供時代に何回もピラールには来ている。とっても懐かしい。当時は泥道で、バスは一日に一回しかなかった」と振り返った。「すっかり良くなって」と感心した様子だった。
 ブラジル農協婦人部連合会の元会長、上芝原初美婦人部長のまわりには、友人である一行の女性陣が囲んで自然に輪ができ、楽しそうな談笑が続いた。
 最後に全員で「ふるさと」を合唱してお別れをし、一行は午後四時頃からピエダーデ第七回柿祭りに顔を出し、夜九時頃にサンパウロ市リベルダーデ広場に無事に帰着。次のふるさと巡りでの再会を誓いながら散会した。
(深沢正雪記者、終わり)

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