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各国日系社会の現状と将来~海外・汎米合同大会を振り返る~=連載《2》=分科会=「日本語と日本文化」=継承日語教育の意義は

2007年8月4日付け

 分科会「日本語と日本文化」(栗原章子コーディネイター)は七月十九日、午前九時半頃から国際交流基金一階、多目的ホールで開催された。
 同分科会は、会場が合同大会本部のあるブルーツリーホテルから離れていたことも影響し、参加者は当初予定の半分程度の約二十人。
 ブラジル日本語センターの谷広海理事長、サンパウロ大学文学部日本語学科の松原礼子助教授などブラジル側関係者のほか、パラグアイ日本協会のオルテガ・エルメリンダ会長、アルゼンチン日本文化財団の加賀美オラシオ理事など四カ国から、日本語教育に携わる関係者らが参加した。
 分科会はブラジル日本語センターの土方陽美さんによる講演「継承日本語」で開会。午前中は日伯文化連盟(アリアンサ)の仲絵真洋子さんが「日伯文化連盟の生徒のアンケート調査に見られる日本語の学習目的と動機」について講演したほか、「日本語教育に対する問題点」をテーマに討論会が行なわれた。
 午後からは、金ヶ江真理講師による「面並びに手先の滑らかな動作を促進するための折り紙の勧め」、若松如空講師による「日本語学習の動機付けとしての書道の普及活動」といった講演も行われ、その後参加者が、松柏・大志万学院を視察した。
 「継承日本語」では、日本語教師の実態として、継承日本語教育と普及日本語教育の違いや教師の育成方法などについて講演。
 仲絵講師の講演では、アリアンサ三校で行なわれたアンケートを元に、どのようなことを生徒が考え、要求しているのかを見た後、将来に向けた改善点などが話し合われた。
 「日本語教育に対する問題点の討論会」では谷理事長が、海外における日本語教師の日本への研修費を日本政府が打ち切ることについて報告、これからの対策について意見を求めた。
 「折り紙」についての講演では、金ヶ江講師から、折り紙の歴史と影響について紹介。同講師は、折り紙を用いることで算数や基礎的なことの理解が容易になることがあると見解を述べた。
 書道普及について若松講師は、ブラジル国内で年々書道人気が高まり、日本の展覧会にも出展されるようになっている現状を紹介。日本語の分らない非日系人にも人気があることから、横文字の書道を始めていること、日本の展示会でも少しずつ受けいれられているようになっていると話した。
 松柏・大志万学院の視察では、同校の歴史を簡単に説明した後、施設を見学。分科会の参加者からは「どこの国でも日本語教育に関する問題点は同じ」、「隣国同士協力していきたい」といった感想が聞かれた。



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