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千人太鼓=初めての合同練習=サンボードロモに6百人=入退場、音響に課題残る=「各地の仕上がりは上々」

ニッケイ新聞 2007年11月08日付け

 千人太鼓を成功させたい――。来年移民百周年記念式典内で行われる千人太鼓の全体初練習が、三日午前からサンパウロ市サンボードロモ(アニェンビー、サンバ会場)で行われた。サンパウロ州内をはじめ、北パラナ、クリチーバ、リオ、サンタカタリーナなどから三十チーム以上(六百人以上)の打ち手が集まり、本番さながらの演奏を披露。演奏は予想以上の結果を残したものの、入退場や音響に課題が残った。指揮を取っているJICAシニアボランティアの簔輪敏奏さんは「今回は六〇パーセント成功。これかさらに詰めていきたい」と気を引き締めた。
 当日は、四日に行われた「第一回ブラジル太鼓フェスティバル」に参加するチームに加えて、千人太鼓の練習のために三十チーム以上が参加した。
 以前七月六日にマリリアで約二百五十人を集めて一度練習を行ったことはあるが、式典本番の会場となるサンボードロモで、約六百人集まって練習するのは初めて。
 太鼓協会の計画では、一チーム三十八人のチームを二十五作り、各チーム大太鼓(一張)、据置太鼓(十二張)、斜め太鼓(十二張)、締太鼓(十二張)。鉄管は全体で一つ。合計人数は九百五十一人で、千人に拘る場合は大太鼓を追加して人数調節を行う、としている。
 演奏曲〃絆〃の演奏時間は八分四十秒。式典当日の太鼓協会の持ち時間は十五分で、入退場にそれぞれ二分ずつを計画している。
 問題は入退場。太鼓を抱えた演奏者たちが、サンボードロモの入り口五ヶ所から、一斉に持ち場に流れ込む。人だけでも難しいのだが、太鼓を抱えてとなるとさらに頭を悩ます問題になりそうだ。
 しかし、簔輪さんは「入退場の予定の各二分に加えて、余りの時間が二分ほどあるから問題ない」と楽観的な見解を示す。この他に大太鼓を入れるために溝を塞いで通らなければならない問題もある。
 合同練習では一人の打ち手が鉄管を打ち鳴らし、その音をマイクで拾い会場中にスピーカーで流す計画で、音響関係者を集めて本番さながらの練習を行う予定だった。
 だが、スピーカーに繋ぐ線が足らないとのことで、全体には音が届かず、端のほうはまとまりを欠く状況に。各チームの参加人数も当日にならないと把握できなかったために、その場でグループ編成を行い大幅な時間ロスを被った。
 今年七月から、各地方で千人太鼓の指導にあたっている簔輪シニアは「各地の出来上がりは上々。でも、全員集まった時にどうなるか」と不安を口にした。
 蛯原忠男ブラジル日本移民百周年記念協会芸能委員長補佐は練習の風景をみて「各チーム同士がバラバラ。好材料は各チーム内で息の合ったところかな」とコメント。簔輪シニアは「最初と最後合ったから良いでしょう」と苦笑い。
 二回、三回と回数を重ねるごとに各チームの息が合ってきた。予想以上の出来に簔輪シニアは「まさかここまで合うとは」と驚いた様子。「本番では入場、退場、演奏の三カ所で感動を与えたい」と語った。
 次回の練習は、来年のカーニバルが行われる前後に一回と、本番直前に一回の計二回を検討中。その他にも、各地で三百人程度の規模で練習する計画もしている。

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