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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年1月5日付け

 初勤行や初ミサも終わりきょう4日は仕事始め。文化協会の新年祝賀会もなかなかの賑わいだったし、この勢いを盛り上げ「移民100年祭」を華やかにしてほしい。パラナ州や各地でも数多くの企画が発表され、これから日本移民の1年が始まるが、なんと言っても本場はサンパウロであり、祭典や記念事業も歴史に刻まれるような意義深いものにしたい▼パラナの日系人は根回しがうまい。ちょっと俗な言い方をすれば、政治の力を使う方法をよく知っている。連邦政府の観光省から1000万超レアルの予算を獲得したのは大きい。沼田信一さんの活躍も牢記したい。子供の頃に移民としてブラジルに渡り傘寿を超えたご老人だが、パラナ州の日系人家庭を一軒また一軒と廻って寄付を頼み、断られたことは一回もないそうだ▼沼田さんは移民の裏物語というか稗史のような著作で知られる。こうした純朴で村夫子のような人物がいないと、どんな大きな仕事も前へ前へとは進まない。残念ながら―我がサンパウロには、こんな朴訥な逸材はいない。あるのは、コロニアのお偉らさんらが高々と吹き上げるラッパの響きだけで真に騒々しい限りである▼祭典には「千人太鼓」の勇ましさもあるけれども、いろんな方面から予算がないの悲鳴も聞こえる。箱物はゼロだし、知的・文化的な事業には氷の刃が現状らしい。と、寝正月で酒盃を傾けながら浮かんだのだが、笠戸丸から100年の記念碑を建立するのはどうだろう。これなら移民200年まで健在だし、資金もあまりいらない。ラッパの雑音もいいが、少しは堅実さも―である。      (遯)

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